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黄金のプチネタSP50C.桜と薫の心配事

 間桐邸の客間のソファーに腰掛けて、間桐桜と言峰薫が体を縮める。
 覗き込むようにして見ているのは雑誌の切り取り。薫が持ち込んだものである。

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I県T市でx人を殺傷した殺人犯が、人格障害の一種である「自己愛性人格障害」と診断された。
「現代じゃなければ、自分はもっと高い地位にいたはずだ」「魔法の世界だったら自分は特別な存在だ。自分の思い通りになる」「だから死にたい。でも自殺は嫌だ」
20xx年xx月xx日「A新聞」はK・M被告がこう供述したと報じた。

 JRxx駅でx人を殺傷した彼は、高等部を卒業したが進学ぜず就職もしなかった。コンビニでバイトをして、家に帰れば部屋にこもってゲームばかり。一緒に暮らしている家族ともほとんど口をきかなかった。
 そして次第に「自分が思う世界なら、もっと高い地位にいたはずだ」と思い込むようになったという。
 逮捕の後、捜査関係者に真顔でそう話し、不満を口にした。
 彼はそんな「本当の自分」になれる理想世界を死後に求めた。犯行に及んだのは死刑になるためだと言うが「自殺は痛いから嫌」「派手に事件を起こして死刑になりたかった」と、身勝手な屁理屈を述べたという。

 自己愛性人格障害にも色々なタイプがある。
「自分は重要な人間である」「私は特別な人間だ」「周囲の人間は頭が悪いから自分を理解できない」
 つまり厚顔無恥・誇大妄想・顕示欲の強さなどが特徴で、他人に共感できないためマナーを守ることもできない。
 また、幼い頃から親の愛情を受けなかったケースも多く「本当の自分はもっともっとすごいんだ」と空想し、傷付いた自尊心を取り戻そうとするタイプもあるとされる。

米国精神医学協会のマニュアルには以下の9つが特徴として挙げられている。
(1)自分の重要性は大変大きなものと思いこむ。
(2)限りない成功、権力や才能といった空想に固執する。
(3)自分は特別な人間であるから、地位の高い人にしか理解されないと思いこむ。
(4)過剰な賞賛を常に求める。
(5)自分だけに特権があると思いこむ。
(6)自分の目的を達成する為なら、他人を利用するのが当然と思いこむ。
(7)他人に対する共感に欠けている。
(8)他人に嫉妬する。成功(あるいは自己実現)している人物を嫌う。
(9)尊大で傲慢な態度や行動をとる。

このうち、5つ以上当てはまる場合は障害の可能性が高いと診断される。
「自分は特別な存在」と話すK被告は(1)や(5)にあてはまる。
 また、現実の世界では特別な存在になれないが「魔法の世界」ではなれると思い込んでいる。という点では(3)に該当する。このようにK被告の言動は「自己愛性人格障害」を疑わせる。

 障害の裏には自己嫌悪があり、それを隠すために思い込みが生まれるのだと分析される。
自己愛性人格障害の患者を診たことがあるというD病院のA院長は語る。
「この障害の裏には自己嫌悪があることが多く、それを隠すために本当の自分は優れた人間なんだと思い込みます。しかるべき環境だったら社長になれる。ノーベル賞を取れる。などと言う人もいます。ただし何も根拠はなく、実現のための努力をしようとはしません。
 うまくいかないと、周りのせいだと言い出します。会社などでもそのような態度なので、転職先で次々とクビになったという人もいました」
 しかし、こうも指摘する。
「日本では症例は少ないのが現状です。なかには誤診されていることもあると思います。言葉で定めた診断基準で見極めるのは難しい」
確かに、患者の中には診断中に気に障ることがあるとキレて暴力を振るう人もいる。しかし。
「この手の患者は暴力を振るうといっても、先のことなど考える余裕をもっていないことが多い。大怪我させようとか、ましてや殺そうと思考することはありません。ただ怒って殴る、それだけです。それで自分や相手がどうなるかなど考えられない。障害以前に人間として未熟なのです」
 T市の事件の場合では計画的に事を運んだようなので、自己愛性人格障害とは考えにくいらしい。該当するかは疑問なのだとか。

治療はカウンセリングをベースに行う。治療開始は早いほどいいが、患者は自分が病気だと思っていないため、自ら治療を受けにくることはほとんどない。もし、周囲の人が疑わしいと思ったら心療内科に相談して、早期に治療を受けさせる必要が……。

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「あのさ言峰、それに桜も、なんで僕に聞こえるようにそんな話をするのかな? 」
 お茶と栗ようかん(薫の手みやげである)を持ってきた慎二が顔を引き攣らせています。
 言われた桜と薫は顔を見合わせて……。
「「ああっ!!!」」
 二人して顔を両手が隠し、ソファーに伏せて泣き出した。多分、嘘泣きである。
「ちょっと待てお前らぁぁぁあああ!!!」

 とある日の間桐邸、割と平和な午後だった。

(注意! これはファンフィクションです)


 プチねたのあとがき
 こういう人って……、いえ何でもありません。げふんげふん。
 当然といえば当然ですが、小説中に使用する言葉については調べます。もったいないのでアレンジしてプチ作品になったものも多いわけです。調べて結局使わない用語がほとんどですが、調べることに手を抜くと作品が薄っぺらくなる気がします。二次なんだからもっと適当に書け。良く言われます。
 だが断る!(一度使ってみたかった、失礼)
2008.10.14th

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