黄金のプチねた#67モザイク
「どうしたんですか?」
ここは新都の商店街。家への土産にお菓子を買おうと歩いていたのは切嗣と薫であった。
振り向くと、切嗣が露店に並べられた雑貨に目をやり立ち止まっているようだ。
その視線を追ってみる。
—— モザイク除去機 ——
男のロマン(?)が売っていた。
「……切嗣さん?」
「いやぁ、士郎にこれはどうかなぁ」
組み立てラジオなんかを手にする衛宮切嗣。そうデスか。あなたも男ですからね。
「な、何のことかな薫ちゃん。このラジオセットって、ハンダごて無しでも作れるのか。いいなぁ」
切嗣さん。そのわざとらしい台詞がたまりません。露天商のおじさんが生暖かい視線で見ています。
「ちょっといいですか?」
モザイク除去機をビデオとテレビの中間に設置して、その手のソフトを再生すると、画面に白い四角、あるいはピンク色の丸などが表示される。
それは除去機に付いた摘みで操作でき、画面上を動かせる。
これを使ってモザイク表示を塗りつぶす。まぁ、見たいものが見えるようになりはしないがモザイクは画面上から消えて無くなる(塗りつぶされるので)
よってこの機械は「モザイク除去機」
オーケー?
「何ィィイイッ?!」
切嗣さん。気持ちは判りますが露天商のおじさんにコロス視線はいけません。世の中そういうものなのです。
「そんな馬鹿な。僕は今まで何を信じていたというんだ」
天を仰いで何かを堪える切嗣氏。
「まあまあ、そう落ち込まずに。大判焼きでも買いましょう」
「……ところで薫ちゃん、何でそんなことを知っているんだい?」
「……ノーコメントでお願いします」
一度だけ、切嗣は振り向いた。
ああ、これでまた一つ、世界が輝きを失った。
あとがき
タ〇リ倶楽部もしくは山〇〇也監督の番組で紹介された(と記憶している)のはこんな感じのものでした。石を投げないでください。色々とすまないと思ってる。
2008.3/3th