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黄金のプチねた#56甘露煮

 甘露煮(かんろに)は、煮物のひとつであり、飴煮(あめに)ともいふ。

 小ぶりな魚を生のまま、あるいは素焼きししてから、醤油・みりん・砂糖などを加え煮る。
 そして骨まで柔らかくなるよう、ゆっくり長く煮込み、仕上げに水飴などを加えて「照り」をだすのがコツである。
 栗やキンカンなどの果物類を甘く煮ても甘露煮と呼ばれる。

「それは判ったけれど、これは何?」
 凛の声が震えている。ここにいるのは遠坂凛と間桐桜、そしてお弁当を用意した言峰薫の3人です。

 ここは冬木市海浜公園。魔女の集い(お友達会)の1ページ。

 おむすびを配った後に、薫が瓶詰めの口を開いた。そして小鉢を取り出して、凛と桜の前に置く。出されたそれは甘露煮で、これをおかずにしろと言う。
 しかしである。
「はい。これは「ざざ虫の甘露煮」です。N野県南部の I 那谷あたりの名産品らしいですよ」
 きれいな水の川底に棲むカワゲラなど(あまり深く追求してはいけない)の幼虫で、蜂の子よりも希少で高級品なのだとか。
 日本にもある食虫文化、地方によってはイナゴ・蜂の子・蚕のサナギ、カマキリさえも佃煮でいただきます。それは知識にあるけれど、これは食べなきゃいけないの?
「何を言ってるんですか、凛。ほら、桜ちゃんを見るのです」
 言われて見やると桜が蟲を、いや甘露煮を平気な顔で食べていた。

 —— 恐るべし! 間桐!!! ——

 違うでしょ! と心の中でツッコミを入れておく。
「ちなみに、ざーざー流れる川にいるから「ざざ虫」と言うそうです。本当ですかねぇ」
 言って薫も蟲を、いや、ざざ虫の甘露煮を口にした。
 オーケー、これは甘露煮。和食の煮物。そして微妙に高級品。フッ。私は遠坂の後継者。常に余裕をもって優雅たれ。食事ごときで桜や薫に遅れを取ってなるものか! でもこれは……。
「ではどうぞ」
 薫が、すすっと小鉢を差し出した。
 おのれ薫! 空気を読みなさいよ馬鹿弟子が!! やっぱりあんたは言峰綺礼の娘だわ!!!
 こめかみに青スジを浮かべつつ、お箸で少し摘んでみる。なるべく見ないようにして、恐る恐る持ち上げる。
 薫、覚えてなさい。桜、あんまり見ないでお願いだから。

 ぱくっ。

(ひぃぃいい! 舌の上で形が!! 形がっ!!!)
 凛の笑顔が引きつった。

あとがき
 よし、これで「ざざ虫」の知名度が全国区だ(違う)
2008.11/24th

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