トップ Profile オリジナル小説 二次創作トップ 頂き物・絵 頂き物・Text 掲示板 メール リンク ぶろぐ日記
黄金のプチねた#91ロイツマ

 冬木市深山町の坂道を、二人の女子がてくてく登る。
 学校帰りに買い物やって、手にしているのはすき焼きセットだ。
 ご機嫌なのか言峰薫は、袋から一本の長ネギを取り出し歌い出す。

「のぽりすた・くーるさ・ぽろくん・たふてぃー・やらかに・ぽってぃー・くっくってぃー。いえばん・あいでぃさ・とぅっとぅさ・ばふてぃば・ぐんらせ・にやばせ・ゆっくってぃ。せら・えーめだ・すぃんらん・きーえる・はいた・こんめー・だんすぃま・らいやさらいた・さりびり・ひっぷ・とぅっぷ・たっぷで・あっぷ・てぃっぷで・ひりおーれ。……」

「ちょっと薫」
 遠坂凛は、クルクルと葱を振り回す薫を止めました。
「いえばん、……なんですか?」
「何ですかじゃないでしょ。ダメよ。食べ物で遊んじゃ」
 その注意に、はっ、しまった。と我に返る言峰薫。凛はやれやれと頭を振った。
「あんたらしくないわね。それに何? どこの歌なの?」
「ああ、これはフィンランドのイエヴァのポルカですよ。ロイツマというグループが歌っています」
「ふーん、流行ってるのかしら」
「そうですね、葱を見るとついつい歌いたくなるのです」
「なんでよ。葱とフィンランドと関係あるの?」
「あー、そこはつながってないのですが。まぁ、将来に備えてフィンランド語など勉強しようと思うのですがどうでしょう?」
「薫、あんたドイツ語やりなさいよドイツ語を」
 薫はつつっと目をそらす。
「……凛。英語、イタリア語、フランス語。読み書きだけならラテン語、ドイツ語。正直、漢字が恋しいのです」
「いいじゃないそれくらい。魔術をやるならギリシャ語、ヘブライ、ヒエログリフ(エジプト神聖文字)、古代ギリシャ語くらいは基礎教養よ」
 薫はスッと前を向き、坂道を登り出す。
「こら、薫。逃げるな」
 葱を回してスキップする言峰薫を、遠坂凛は追いかけた。


あとがき
 ロイツマ(Loituma)はフィンランドのカルテット、つまり四人組の歌い手グループの名称。フィンランド伝統の楽器と声楽法によりポルカ(舞曲)などを歌う。
 イエヴァン・ポルカ(フィンランド語で「イエヴァのポルカ」の意)がネット上で「長ネギ回し」のBGMとして使用される。
 よってロイツマとはグループ名であって曲の名前ではない(知りませんでした)
2009.11/7th
トップ Profile オリジナル小説 二次創作トップ 頂き物・絵 頂き物・Text 掲示板 メール リンク ぶろぐ日記
inserted by FC2 system