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黄金のプチねた#85扇風機

 それは暑い日の昼下がり。言峰薫は用事を済ませ、教会居住棟に帰宅した。
 ちょっと辺りを探ってみるが、人の気配がしなかった。二人とも、どこかへ出かけているらしい。
 礼拝堂をのぞいてみると、空気をかき回すためにか扇風機がつけたままにしてあった。
 むむむむむ。これは電気の無駄遣い?! しかしである。クーラーを使うことに比べれば、この程度はリーズナブルと思うべきかもしれません。
 薫は扇風機に近づいた。
 右を見る。そして続いて左も見る。よし、誰も見ていない。
 おもむろに、薫はスカートをたくし上げて扇風機の風を絶対領域(スカートの中)に導きいれた。
「うぉぉおお?! これは涼しいっ!!!」
 未体験の清涼感に、薫は思わず声を上げた。
 スカートはパンツに比べ、ずいぶん涼しいモノであり、あれで冬でも暖かいモノである(らしい)
 そんな秘密の領域に、しかしさらなる吹く風は抜群の涼しさをもたらした。薫、思わず感動である。
 だがしかし。
「カヲル、貴女はなにをやっているんですか?」
 呆れた声に振り向くと、小さな王様ギルガメッシュがやれやれと首を振っていた。
「失礼しましたっ!!! ……でも王様、どこにいらしたんですか?」
「地下ですよ。気がつきませんでしたか? 人除けの結界に気配が紛れたのかもしれないですね」
 アハハハハ。無邪気に笑う英雄王(小)しかし薫の頬は引きつった。
「ハハハハハ、……さて」
(ひぃぃいいっ!!!)
 トーンの下がった小さな王様の声色に、薫は思わず縮み上がった。そうです。小さな王様は、こんな時こそ怖いのです。
「カヲル、貴女はボクに使える従者であると同時に貴婦人でなければいけません。判っていますね?」
「えーと、私は王様にお仕えすることに異存はありませんが、貴婦人というのは違うと思うのですがどうでしょう」
「……何か言いましたか、カヲル?」
「何でもありませんっ!!! 申し訳ございません。我が王よ!」
 片膝ついて頭を下げた。しかしそんな薫にギルガメッシュは溜息をついていた。
「まったく、戦士のような振る舞いばかり身に付いて困りますね。綺礼も大人のボクも、もっと女性らしく躾けることに気を遣って欲しいものです。……どこへ行くのですかカヲル」
 逃げられませんでした。
「いいでしょう。ではボクが女性のあり方について貴女に教えてあげましょう。来なさいカヲル」
 小さな王様に手を引かれ、がっくりとした薫はされるがままに地下礼拝堂へと降りていった。


あとがき
 石を投げないでください(いや、本当に)
2009.7/19th

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