黄金のプチねた＃79聖剣魔術

　遠坂邸の地下工房。祭壇を前にして、言峰薫はアゾット剣を頭上にかざす。紅玉がはめ込まれ、黄金と瑠璃で装飾されたそれは魔術礼装「王の剣」の一本だった。
　短剣を騎士長剣（ロングソード）のように掲げて薫は祈りと共に呪文を唱えた。
「円卓の、騎士を束ねし騎士の王。その手に掲げた剣の名をもち、我は聖なる光を放つ」
　眼光鋭く、声には意念と力を込めて、短剣を媒介に魔法の剣（マジックソード）を具現する。

　————　エクスカリバー!!!　————

　アゾット剣の刀身が光を放ち、破邪の秘力を宿した白銀の魔力刀身が形成された。
　フムと薫はそれを見る。
　詠唱によって派生した聖波動（サイコウェーブ）と聖属性攻撃魔術（ホーリーボルト）を併せて放つ。いってみれば聖剣魔術（ホーリーブレード）。
　威力は対霊攻撃魔術として魔術評価でランクＤといったところだろうか。
　ちなみに霊体攻撃用の術式なので、物理的な攻撃力はない。お豆腐だって切れません。とはいえ人間の霊体は切り裂けるので、ショック死させることは可能かも。
「へぇ、薫はやっぱり教会系のシンボルと相性が良いみたいね」
　遠坂凛が覗き込む。
　アーサー王、キリスト教徒の理想の王。彼の王の剣の名でまとめ上げた魔術ホーリーブレード。しかし薫は浮かない顔だ。
「何？　気に入らないの？　やっぱりデュランダルの方が良かった？」
　デュランダル、聖騎士ローランが使った聖剣である。一般的なロングソード（十字架長剣）の上位に存在する聖剣概念。しかしこっちにしたのは薫である。
「うーん。これなら死者（デッド）や残留思念（ゴーズト）妄念体（ファントム）には有効だとは思うのですが、黒鍵で充分な気がします。今さらですが」
「いいじゃない。引き出しは色々あった方が良いわよ」
「そうですねー。……いっそのこと聖剣魔術より、撲殺魔術エスカリボルグでぴぴる（ピー）でいこうかと」
「止めなさい薫。それとあんた（ピー）使ってる意味無いからそれ」
　なにっ?!　と振り向く薫に呆れる凛。ああ、この子ストレス溜まってるのねと理解した。

あとがき
　あくまでネタです（笑）知らない方、失礼。