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黄金の従者#74ラブシーン

「奥さんっ」
「ダメよ。私には愛する夫と子供が」
 夜も更けた言峰教会居住棟。応接間に置かれたテレビ画面に、ありがちな不倫ドラマが映し出されていた。
 そんなドラマを薫は何とはなしに眺めている。
 言峰薫は考える。
 霊媒治療で士郎の体にとけ込んだ「聖剣の鞘」を引き抜けないものだろうか。アーサー王伝説から呪文を構成し、波長を合わせるならそれも可能かもしれない。しかし、
(……嫌だな)
 属性の違う二人の魔術師が波長を合わせようと思ったら、えっちなことをする以外の方法が思いつかない。殺した後で時間を掛ければ別かもしれないが、そういうことをしたくないから頑張っているのだ。

 衛宮士郎。
 その正体は魔術師ではなく、宝具人間かもしれない。
 中国の四大怪奇小説の一つ「封神演義」にナタあるいはナタクという宝貝(仙人が使うマジックアイテム)を核として生まれた人造人間的なキャラクターが登場する。
 衛宮士郎もそれと同じような存在かもと薫は思う。
 聖剣の鞘は結界宝具。刺すべき剣を持たぬ鞘(世界)は剣(理想)を求め、衛宮士郎の内面に剣を溜め込む結界を形成したのではなかろうか。
 そんな彼が魔術回路の形成を繰り返し、虚ろな鞘(空間)に溜め込んだ理想(ツルギ)を外に具現化する投影特化型の宝具人間と化したとは考えてはいけないか。

 薫はしかし、かぶりを振った。こんな思索に意味はない。
 対処すべきは目に見える能力とするべきだ。本質などという実体のないものを追い掛けるのは言葉遊び以上の意味がない。
「はふ」
 ため息を付きながら、セイバー・アーサー王の召喚は諦めることにする。まぁ喚んだら喚んだでこっちは大変そうだし、正直いって上手付き合う自信もない。
 世界(Fate)を正常に戻すため、セイバーには自分ごと大聖杯を叩き切ってもらわないと困るのだ。
 考えるのが嫌になって目を伏せた。そんな薫にギルガメッシュが声を掛けてきた。
「どうしたカヲル。貴様には情事を悦楽と見るのは早かったか」
「はぁ、あまり考えたくはないですね」
「まあよかろう。処女権は我(オレ)が行使するとして、問題はカヲルに釣り合う男をどう調達するかだな」
「王様、私は将来、修道院入りするつもりですので男性とお付き合いする気はないのですが」
「さて、綺礼。貴様はどう思う」
「聞いちゃいねー」
 じと目で見やる薫の視線も何のその。ギルガメッシュと言峰綺礼はニヤリと嗤う。
「ふむ。薫を嫁に欲しくば私に認められる男でなくてはな」
「おじさま、それはどんな性格破綻者ですか」
「ハハハハハ。カヲルが欲しくば我と剣を交えて立っていられる勇者でなくては我が許さぬ」
「王様、それはもう英霊です。申し訳ないのですが、もっと普通の人でどうかひとつ」
「「詰まらん」」
 面白がられても困るのは薫である。とりあえず気持ちを切り替えて、二人のグラスにワインを注ぐため薫は立った。


あとがき
 オリキャラ&セイバー組は無しの方向で。
 士郎と薫のベッドシーンで鞘を抜き取る所から始まる〜の従者18禁ルート(士郎ハーレムルート)は、セイバー&薫が敵対する構成なのですが書くことはないでしょう(サーバーもアダルト禁止です)
2009.6/6th

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