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黄金のプチねた#27てけり・り

「出来ました!」
 そういって薫は手のひらを突き出した。宝石使ってパペット(使い魔)を作りなさい。出した課題に応えた弟子は、笑顔を浮かべて満足気味だ。
 しかし師匠は頬を引き攣らせ、顔をしかめて不機嫌そうだ。
「……薫、何これ?」
 差し出された物体は、取り敢えず宝石で出来ている。多分オレンジ・ガーネット。手のひらに乗ったそれは肉まんくらいの大きさで、常識的には馬鹿でかい。
 くそぅ、この弟子、練成昇華でこんな大きなガーネットを作りやがって。スベスベでツヤツヤ。店で買ったらいくらするのだこの物体。
 しかしである。

 ーー てけり・り ーー

 オレンジガーネットの塊が、うねっておかしな声を上げている。凛は頭が痛くなる。
「えーと、スライム?」
 この前やったテレビゲームに、こんな感じの奴がいた。だがしかし、
「違います! これは ”ショゴス” です!!」
 そういって、弟子の薫はえっへんと胸を張る。
 凛は手渡されたスライム? ショゴス? をじっと見る。大きさは肉まんサイズ、邪眼除けなどに使われるアイアゲート(目玉石)がはめ込まれ、一つめ小僧のスライム、いやショゴス? あ、触手の先にもアイアゲートが付いている。目玉は二つ、ありました。
「一応、属性は火と土で、目玉石を使って視界の共有を助けます。そして素材は私が得意なガーネット。変化魔術を作用させて形を変えて、狭い隙間もなんのその! どうです? 良い出来でしょう?」
 得意そうにしている言峰薫。凛は再度、手渡されたモノを見る。

 ーー てけり・り ーー

 ガーネットの塊が手の中でブニャブニャと形を変える。触手を伸ばし、ハーイとでも言いたげにウネウネ動く。
「この馬鹿弟子ぃぃぃいいい!!! もっとまともなのを作りなさいぃぃいいい!!!」
「えええっ?! なぜですかっ?! 素晴らしい出来だと思うのですがっ!!!」
「遠坂の歴史と宝石魔術なめんなっ! これは没収よ!!!」
「待ちなさい凛! さてはそれが目的ですね?! それは私のです! 返してください!!」
「ダメよ! こんなものを使われたら遠坂の名声は地に落ちるわ!! 私には家名を守る責任があるの。判るわね?」
「とか言ってそれをどうするつもりですか?! 返してください! ダンセイ〇! ダ〇セイニー!!」


2008.7/2th
 返してもらったかは定かではありません(オイ)

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