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黄金のプチネタSP50D.遠坂凛のアクセサリ講座

 遠坂邸の地下工房では、今日も講義が行われている。教えているのは遠坂凛、話を聞くのは薫である。
 テーブルがチェストに引き寄せられて、そこには宝石が飾られた様々なアクセサリが並べられている。
 今日のテーマはアクセサリ。凛は背筋を伸ばして胸を張る。目の前では弟子の薫がジュエリーを指で突いて、注意深く見ているようだ。よしよし、やはりこの子も女の子。キラキラ光る宝石達は、この世の女性を魅了する。そしてこの子の後ろには、お金持ちのスポンサー。

 ……ちょっとムカつく(でもひみつ)

 こほん。そろそろ講義を始めよう。

遠坂凛のアクセサリ講座

 アクセサリとは日本語では「装身具」と書き、指輪とか、ネックレスとか、イヤリングとかのことね。服と合わせてこの身を飾る工芸品のことよ。

 だけど装身具の始まりは装身、つまり飾るオシャレのためじゃないの。
 自然の驚異や不幸から身を守るため、魔力(不思議な力)があるとされた物を身につけたのが始まりで「呪術的なもの」が根源だろうと言われているわ。人がまだ原始人だった頃から存在していたものよ。
 文明が生じて支配階級が生まれると、権威や身分の高さをアピールするために身に付けるようにもなる。
 さらに宗教が発達すると、神や精霊とのつながりになるよう、十字架みたいなホーリーシンボル的なものも登場するようになってくる。
 時代が下って市民が裕福になると普通の人も身につけるようになって、魔除けや加護を願う本来の目的でなく、権威を示すためでもなくて、純粋に美しさやオシャレを演出する物に変化した。

 装身具(アクセサリー)で飾ること。それは一部の民族や文化から広まったことじゃない。
 世界中で見られる現象で、それは発掘された古墳や遺跡、墓所に埋葬されていた埋葬品、壁画や伝統工芸品なんかからも判るわ。
 古代では花や木の実、貝殻、動物の歯とか牙とか角なんかを組み合わせて作っていたみたいね。
 日本だと、縄文時代から耳飾や腕輪などの装身具が作られていたみたい。古墳からは金が塗られた真鍮のアクセサリーも発見されてるわ。
 材料で言えば現代じゃクリスタルガラスからプラスチックまで、その素材は様々になってきているわね。
 現代は金や銀、プラチナなんかの貴金属製が一般的かしら? 男の人も付けるようになってきているわよね。
 うーん、広義では神社のお守りや登山者が付ける熊除けの鈴や錫杖、さらには会社員の名札や腕章、それにベルトも装身具に含まれることになってるわ。

 なんだけど、その中でも特に宝石と貴金属を用いて作られた装身具を「宝飾品(ジュエリー)」と呼ぶの。
 宝石と貴金属を用いて作られたアクセサリはファイン・ジュエリー。
 それ以外の貴石なんかの素材を使ったものとか、安価なものはコスチューム・ジュエリーと区別されることもあるわね。

 アクセサリの素材には、変質して変色したり、変形したりしないものが好まれるわ。
 あとはもう、人体に有害でないなら鉱物、金属、セラミック、ガラスに樹脂に木材、化石。貝殻や珊瑚、動物や植物の一部まで何でもありね。

 ポピュラーなアクセサリで宝石で飾りそうなものを挙げてみるわ。アイウエオ順に言ってみると。

・アンクレット:足首に付ける装身具で、奴隷の足輪が起源だと言われるわ。
「私は恋人または夫の所有物です」ってことを表現する物でもあって、右の足首だけに付けている場合「浮気相手を募集中です」という意味にもなるみたい。
・イヤリング:ピアスは耳に穴を空けてつけるものなんだけど、イヤリングは耳たぶをはさんで着用するヤツね。ねじ止め式やクリップで止めるものがあるわ。
・簪(かんざし):主に女性が髪に挿して飾る装身具。日本、伝統のアクセサリーね。
・チェーン:鎖のことだけど、これにもちゃんと歴史があるのよ。元々は財布の盗難防止のために付けた物。それがオシャレの一部になったの。今時は首に巻いたりもするのよね。
・ティアラ:頭部を飾る冠の一種だけど、王冠(クラウン)とは違うわよ? 付ける人の身分によってデザインと値段を変えるのが本当。王冠より下位じゃないとまずい物よ。一般人は付けない方がいいわ。
・ネックレス:首飾りのことね。長さによって名前が変わり、チョーカー (35cm)プリンセス (40-45cm)マチネー(53cm)オペラ (71cm)ロープ (105-107cm)ロングロープ (142cm)というのがあるんだけど、……本当はこれ、真珠のネックレスでの分類なの。
 それ以外のネックレスでこの名前分けを使うと笑われることがあるから注意してね。
 まぁ、会員にならなくても買い物が出来る程度の店なら、店員も嫌な意味で教育を受けているから笑われたりしないわ。ブランドショップでもそれは同様、上流階級用のうんちくだとでも思って忘れてしまって構わないわ。
 はいそこ! 私が決めたんじゃないんだから、嫌な顔しないの!! 嫌なことでも現実は現実なのよ!!!
 あとラリエットっていうのもあって、首に巻くんだけど、ネックレスのように輪になっていないものを指すの。首の後ろで交差するようにして首に巻いて、前に戻して軽く結んで着用するのよ。
 ネックレスは本当に色々あるわね。白真珠は婚礼に、黒真珠はお葬式に使うとか、肩こり解消の磁石ネックレスとか科学的に根拠のないゲルマニウム健康ネックレスとか。
 あとネックレス自体が飾りになるものを「ネックレス」と呼び、紐に通したペンダントが飾りになるものはネックレスでも「ペンダント」だから注意してね。
・ピアス:耳に穴を開けて、そこに通して着用する耳かざりね「ピアスド・イヤリング」の略よ。
・ブレスレット:腕輪のこと。手首に着用する装身具。一応バングルは違うものとされるのかしら? バングルは手首に付けるC型のものなんだけど。
・ブローチ:服の胸などにつける装身具。校章や社章なんかもブローチにあたるわ。
・ペンダント:ネックレスの紐なんかに通してつけるアクセサリで、ネックレスから取り外せるタイプのものが多いわね。ペンダント本体は「ペンダントヘッド」または「ペンダントトップ」と呼ぶわ。
・リング:指輪ね。シルバーリングが商品の中心になってるわね。シルバーリングを家庭で作成できる工作セットも良く売れているみたい。

 アクセサリの製作法と製品の区物なんかを言うと……。

 金属工芸では「彫金・鍛造・鋳造」が三大技法といわれているわ。貴金属装身具の制作においてもこの全てがおこなわれるの。
 ただし、装身具の分野ではこれらを「彫金・鍛金・鋳金」と称します。さらには、これら貴金属装身具の制作技法を総称して「彫金」とまとめて呼ぶわ。
 また、キャスト製品と区別するために「彫金・鍛金」の二技法のみを指して「彫金」と言うこともあるわ。でも厳密には、たがねなどで金属を直接に削ったり彫りこむことが本来の「彫金」よ。
 金属製装身具には量産品と、上記の彫金による製品があるんだけれど、現在見られるほとんどの製品は量産品ね。
 これには紀元前より存在する蝋型鋳造がルーツのロストワックス鋳造法とか、プレス製造なんかがあるんだけど、私たち魔術師は「手作りによるタリスマン効果」を大事にしなくちゃいけないから、基本的に量産品は「材料」と考えた方がいいわ。

 え? 三次元CADと光造形手法でのロストワックス鋳造? ……いいかしら? 私たち魔術師は過去へと逆行する存在よ。
 私たちにとって研究とは先鋭化させるべきものであって、先端化させるものじゃない。
 あなたなら、きっと判ってくれると信じてる。……だからそのダメな子を見るような目はやめなさい!


プチねたのあとがき
 これも資料としてまとめたもののプチねた流用。管理人(私)は服飾には詳しくないです。書いてて「うっ」と入力が止まることも多くあります。ちなみに綺礼が着ているやつはカソックではありません。また、シスターが着ている服も、本当はカソックとは呼びがたい。とか調べて「えーっ!!!」です。
2008.10/14th

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