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黄金のプチねた#127こたつの魔力

「はぁーっ、幸せです」
 言峰薫はローテーブルに突っ伏した。目を閉じて頬を付き、長い髪が天板上にさらりと広がる。
 ここは夜の衛宮邸。台所を覗ける畳の部屋は詰まるところは居間であり、食堂も兼ねていた。
「しろーっ、ミカンどーこー」
 だれた声を出しているのは薫ではなく藤村大河。言峰薫の向かいに座り、しかし同じくテーブル上に伏せている。
 こたつだった。
「お願い。こたつに入らせて」
 しょーもない理由でやってきたのが言峰薫。今日明日は教会に一人だそうで、寂しいから泊めてと言ってきた。
 冗談ではない。色々と有名な言峰薫を泊めたと知られたらどうなるか?
 学校中の男子から、いや、女子からも吊し上げを食らいかねない。その程度のことは士郎でも判るのだ。
 帰り際、遠坂凛からイイ笑顔で睨まれた。彼女の家にコタツはないのだろうか、そういうことではないだろう。実に心臓に悪い。
 そこで桜に助けを求め、大河にも話を通して来てもらう。
「衛宮先輩、運んでもらっていいですか」
 土鍋からは蓋をしているにもかかわらず良い匂いが立ち上る。言峰薫が持ち込んだカニを使った海鮮鍋だ。ボイル(蒸し上げ)たカニ足は別にしたのは当然だ。

 美味さは人を、黙らせる。

 パキリパキリと甲羅を砕く音がして、ズズッとすする音もする。冬の味覚を堪能し、片付けも済んだ頃には大河と薫がコタツで寝ていた。
「薫先輩、風邪ひいちゃいますよ。帰りましょう」
 桜が揺するが薫は起きず、コタツの中へ首まで潜る。言峰薫は妖怪コタツムリと化していた。
「これはコタツの呪いです。きゃ〜、吸い込まれるぅ」
 棒読みである。とても眠そうです。
「うちのコタツに呪いをかけるな!」
 きゃー、お姉ちゃんも吸い込まれるー。真似して潜る藤村大河を、衛宮士郎は引きずりだした。


あとがき
 そして衛宮邸ではコタツ禁止令が(かなりうそ)コタツの呪いはランクAです。
 2011.12/31th
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