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黄金のプチねた#109風の回廊

 街の灯りが地上で星のように瞬く夜の冬木市。吹き抜ける風の中、言峰薫が飛翔する。
 赤い炎の翼を広げ、金の火の粉を撒き散らす。しかし翼は広げたままで、羽ばたくことなく風に乗る。
 街を外れて丘陵地、山肌へと近くと、薫はその身を翻す。
 風を読み、地形を見取り、気流を想う。思考を加速し天へと登る渦を読む。
「見つけた」
 小さくつぶやき、そして小さく羽ばたいた。
 滑るように滑空し、尾根へと近づきくるりと回る。
「つかまえた」
 薫は頬をほころばす。地形によって生まれる上昇気流を捕まえた。風の力で天(ソラ)へと登る。
 それはまさに風の回廊。
 螺旋階段を登っていくように、翼を広げた言峰薫はくるりくるりと旋回しながら高く高く舞い上がった。


あとがき
 パラグライダーやってる友人は、風を読んで登れる場所を見つけるとのこと。羨ましい。
2010.8/2th
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