黄金のプチねた#101おはようございます(ドイツ語でどうぞ)
「士郎君、おはようございます」
背中越しにかけられたその声に、衛宮士郎は振り向いた。
朝日の空気が少し冷たい学校廊下に、同級生の言峰薫が立っている。ひらひら手を振り笑顔を見せて、今日も調子が良さそうだ。
「ああ、今日は学校来れたんだな」
「はうっ?!」
週休三日体制で通学し、補習の常連である女生徒は胸を抑えてしゃがみこむ。
「大丈夫か」
気づかう士郎に、しかし薫は額の汗をぬぐって不敵な笑みで睨んでみせた。
「おのれブラウニー。朝からキツイ一撃ありがとう」
「誰がブラウニーだ」
ふっふっふ。向かい合って睨み合う。
穂群原のお手伝い妖精ブラウニーこと衛宮士郎と、お嬢様でもAランク問題児こと言峰薫がバチバチ視線をぶつけ合う。
お互いそれなりに優等生であるのだが、反りが合わずに衝突するのが常だった。
そこに女生徒が割り込んだ。
「何やってるのよ薫、衛宮君おはようございます」
朝の空気が華やいだ。
左右で結んだ髪は長くたなびき、蒼い瞳が明るく輝く。クォーターだという彼女は遠坂凛。学園のアイドル的存在だ。
そんな彼女がニッコリ微笑む。衛宮士郎はたじろいだ。
「Guten Morgen」
「ぐ、ぐーてんもるげん」
「Guten Morgen」
「グ、グーテンモルゲン」
「Guten Morgen」
「、Guten Morgen」
「はい。良く出来ました。衛宮君、ドイツ語がんばってね」
遠坂凛は花のような笑顔を見せて立ち去った。
あの笑顔は反則だと思う。それと言峰、ニヤニヤしてないで少し遠坂を見習えよ。
女生徒達がいなくなった廊下で衛宮士郎は息を吐く。
言峰薫は聖堂教会関係者。その彼女と仲良くしているということは……。
「遠坂は教会の関係者、なのかなぁ」
顎に手を当てむむむと唸る衛宮士郎なのでした。
あとがき
色々だまされてます(笑)
2010.4/28th