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黄金のプチねた#97判別方法

「そういえば、藤乃ちゃんと薫ちゃんは似ているね」
 ここは蒼崎橙子の設計事務所「伽藍の堂」
 所長は只今、打ち合わせに出て留守だった。
 祝日なのにもかかわらず、デスクで資材の原価計算をしているのは黒桐幹也。黒縁眼鏡に黒い服、黒ずくめの青年で、たった一人の従業員だ。
「藤乃と薫ですか?」
 首を傾げたのは幹也の妹の黒桐鮮花。全寮制のお嬢様学校で寝起きしているにも関わらず、頻繁に外出届を提出する成績優秀なお転婆娘である。
 そんな鮮花は親友・浅上藤乃と、転校生・言峰薫をイメージしてみた。なるほど二人は似てるかも。
「そうですね兄さん。後ろ姿なんかはそっくりかもしれません。でも前から見れば一目で分かりますよ。雰囲気が全然違います」

 儚げで気弱な感じの友人、藤乃。
 快活で瞳に強い意志を宿す異邦人、言峰薫。

 並べてみれば見間違うことはないだろう。
 うんうんと鮮花が頷いていると、気だるげな声がかけられた。
「ふん、浅上と言峰が似ているだって? お前ら目が悪いんじゃないか?」
 壁に背を保たれた着物姿の少女は両儀式。
「何よ式。あなたはすぐに判るっていうの?」
 鮮花の問いに式はフフンとせせら笑った。それに鮮花はムッとする。
 両儀式は魔眼の持ち主だ。どうせその非常識な力で変なモノでも見て判断しているに決まっているのだ。
「へぇ、式はあの二人がちゃんと見分けられるんだね」
 笑顔になった兄・幹也。何が嬉しいのか想像すると腹立たしい。おのれ式、泥棒猫め。
 幹也の言葉に、式はツンと横を向く。そして簡単だと言い捨てる。
「鮮花よりかなりでかくて「たゆんたゆん」なのが浅上藤乃、鮮花より少しでかくて「ぷるんぷるん」なのが言峰薫だろ」
「どこ見て区別してるんですかっ?!」
 鮮花は胸を押さえて怒鳴りつけた。


あとがき
 クロスオーバー決定記念ということで(本編展開先行ネタ?です)
2010.1/26th

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