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黄金のプチねた#96四大武器

 タロットカードでは剣が「火」だが、実際の魔術では「火」には杖(ワンド)を当てはめる。
 これがそうよと教えられ、薫はワンドを手に取った。
 直径は三センチほどで長さは大体三十センチ。真紅に塗られ、両端が鮮やかな黄色に縁取られる。
 そして書かれているのはラテン語の呪文であるらしい。
 自分用は自分で造り、魔法名(マジカル・モットー)を書いて自分専用になるのだとか。
「これが火の杖ですか」
 言峰薫は火属性。己に最も近しい魔術武器を手にとって、色々思うこともある。
 しかし取り敢えず次にいく。
 ワンドを置いて、すぐ横に置かれた剣を取る。剣と言っても短剣(ダガー)だが、刃渡り二十センチほどの立派なものだ。グリップと鍔が黄色く塗られ、両刃の刀身に呪文が書いてある。
「それが風の短剣ね。本物だから指を切らないのよ」
 はぁいと返事しそれを置く。次にグラスを手に取った。
 ガラスで出来たチューリップ・グラスである。八枚の花弁のようなデザインで、呪文が油性塗料で表面に書いてあるが、これなら加工は簡単そうだ。
「水のカップ(杯)よ。ヒーリングにも使えるわよ」
「なるほど」
 憶えておこうとつぶやきつつも、最後の円盤を持ち上げる。
「さて、私にはこれが一番の謎アイテムなのですが」
 ペンタクル。万能章とも言うが判りません。縁は白、中の円が四分割されレモン色・オリーブ色・黒・あずき色に塗り分けられて、その上に白で六芒星が上書きされている。正体不明なアイテムだ。
 くすくすと笑う声に目線を上げると、凛が笑いをこらえていた。
「ぷぷぷ。そうね。万能章って言っても何に使うのか判らないわよね。これはね、紋章とか家紋とかホーリーシンボルみたいなものよ。えいやっ! て見せ付けて、相手に言うこときかせるものよ」
「それはつまり「水戸黄門の印籠」ですか?!」
「いや、その例えはちょっとあれだけど。まあそういうものよ。でもね薫、他の魔術武器も同じといえば同じなのよ」
「つまり、剣や杖やお金を突き付け「言うこときけや」とかますのですね」
「違うわよ!!! ……いえ、違わないかも。で、でもね、魔術的な権威ってものがあるんだから、ちょっと違うのよ」
 そう言い凛は、あははと笑って誤魔化した。
「それからね薫。ペンタクルだけは内側の四色が四大元素に対応していて、四大の力をそれ一つで扱えるのよ」
「そうなのですか?! 侮れませんね不思議アイテム?!」
 ひかえおろー、と言って万能章をかざす薫に、凛は「それは違う」と苦笑した。


あとがき
 全部「ひかえおろー」みたいに使うのだそうです。
2010.1/15th

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