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黄金のプチねた#95小アルカナ

 テーブルの上に小さな箱が置かれている。凛はそれを手に取り中身を出した。
 出てきたのはタロットカード。そこから数枚を抜き出し並べ、遠坂凛は目線を上げる。
「薫、これを見て」
 言われてとおりにカードを見ると、並んでいるのは「剣」「杖」「杯」そして「金貨」のカードだ。
「タロットカードは絵付きでゼロから二十一のナンバーがついた大アルカナと、それ以外のトランプみたいな小アルカナからなるんだけど、この小アルカナがトランプの原型よ。トランプのスートはスペード・クラブ・ハート・ダイヤだけど、これはソード・ワンド・カップ・ディスクが変化したものなの」
 凛の説明を聞きながら、薫は小アルカナのカードを手に取り眺めている。
「ほうほう、ではトランプ占いもタロットカードが元ですか?」
「そうね。でもね薫、タロット占いだと大アルカナを使うのがメインね。慣れたら大アルカナと小アルカナ、両方のカードを混ぜて占うわ」
 凛の台詞に薫は、うげーと嫌そうな顔になる。
「一枚ずつの意味を憶えるの大変ですね。逆さになると意味が変わるし」
 薫の言葉に、今度は凛が呆れたような顔になる。
「何言ってるのよ。易経の六十四卦とそれぞれの、……コウだっけ? 64+64×6だけ文章憶えるより楽でしょうに」
「あっはっは。易経はストーリー性があって憶えやすいんですけどね。まぁそれはともかく」
 説明をどうぞと薫は促す。
「そうね。ソードは剣。ワンドは杖だけど棍棒って訳されることもあるわね。カップは杯だけど聖杯っていうこともある。金貨は原文がコインのときもあればペンタクルって記述されてることもあるわね。
 カードのスートは四大元素に対応しているんだけど。
 ソード(剣)は「火」ただし魔術武器は風と入れ替わってワンド(棒杖)を使うわ。
 ワンド(杖)は「風」魔術武器は火と入れ替わって短剣(ダガー)よ。両刃の奴ね。
 カップ(杯)は「水」でグラスの事ね。花弁みたいなデザインが好まれるわ。
 コイン(金貨)は「地」魔術武器だと万能章(ペンタクル)ね。ディスク(円盤)というのもありかもしれない」
 うーん。と腕を組んで考え出す遠坂凛。
「つまり、流派や団体によって異なることもある。そういうことですね?」
「そうね。でもまあ四種類のスートが四大元素に対応しているのは間違いないわ。本当はタロットカードが生命の樹に対応していることが魔術カバラの根幹と関係してるんだけど。……あんたは基督教カバラだけどね」
「 ──── 王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。って奴ですね」
「え? ああ、王冠(ケテル)は生命の樹の頂点、王国(マルクト)は底辺ね。三叉路は樹のパスで、循環はからみつく蛇、力の流動になるわ。まさしく「生命の樹(セフィロト)」ね。でも薫、よくスラッと出てきたわねそれ」
「あっはっは。おじさまがちょっと」
「ああ綺礼からか。そう言えば綺礼は思想基盤どうなのかしら? 魔術と秘蹟で完全に分けちゃってるのかしらね」
「どうなんでしょう。でも魔術はもうやる気なさそうですけど」
 苦笑する薫に、凛はムムッと目を寄せ宣言する。
「いい薫! 綺礼はともかく貴女は私の弟子なんだから絶対に魔術師になるんだからね!」
「はいはい。お師匠様。私は凛の弟子ですから、ちゃんと魔術はやりますよ。好きですし」
 良し。えっへんと偉ぶる凛に、へへーと薫は拝んでみせた。


あとがき
 本を見ながらならタロットも易占もなんとか。どちらもインスピレーションを刺激するタイプなのが好きです。やる気になれないのが西洋占星術。雑だあれは。好みの問題ですけどね。
(本当は、生まれた時間に地平線にある星座がその人の守護星座みたいなものになるのです。誕生日の星座は「何月」というのを星座名で「〇〇宮」と呼んでるだけ、個人の運勢とは関係在りません)
2010.1/15th
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