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黄金のプチねた#92輝く太陽

 遠坂邸の地下工房で、言峰薫が前髪を搔き上げる。
 ヘアピンで固定し、おでこを露出。凛が手にした鏡を見ながら、おでこに細い筆を当てていく。
 描くのは ────

 太陽の占星術記号と精霊ソラスのアルファベット。その左右に「フォーチュナ・メジャー」「フォーチュナ・マイナー」をドットで点画。さらに太陽の力を象徴する大天使ミカエルの名を描く。

 ミカエルは王国の保護者であり、美と調和の大天使。迷う者の導き手であり、子供の姿でありながら黄金の王冠をいただく王でもある。
 そして生け贄にされた神を象徴する大天使。

 召喚に最適とされる日曜日の夕方。薫は太陽を背にして神名を振動させる。
「イーヴァ・アロアー・ヴァ・ダート」
 自身に重なるイメージは、ピンク色の肌の子供であり、サフラン色のローブをまとい、金の冠をかぶりし王の姿だ。
 召喚魔術の作法によって、天使の秘力のその欠片(ワケミタマ)を呼び降ろす。

 霊体を光で満たし、言峰薫は目を開く。
 くるりと周り、遠坂凛に向き合った。
「いきますよ、凛」
 薫はスッと両手を挙げて、額の横に手刀を当てる。

「 ──── 太・陽・拳!」

 薄暗い地下室が、少しの間、明るくなりました。

「むぅ、光が弱すぎる。これでは役に立ちません」
 残念そうに薫は言った。しかしなぜか顔には笑みを浮かべる。そして凛の方に頭を寄せて「突っ込みカモーン」みたいな感じです。
 しかし。
「そう? 割りと上手くいったと思うわよ?」
 平然とした凛の言葉に表情を失った。
「……」
「……?」
「……(怒)」
「……???」
「……、凛」
「……、えーと。何かしら」
 薫は凛の両肩をガシッと掴んだ。
「貴様ドラゴ〇ボ〇ルも知らんのかぁぁあああーっ!!!」
「ドラゴンの何? 如意宝珠ってヤツ? 東洋のでもそれ位は知ってるわよ。神通力の源でしょう? 竜神の」
「新装版を買ってきなさい! そして読め!!!」
「?????」
 薫の剣幕に眼をパチパチさせる凛であった。


あとがき
 遠坂邸にテレビはある……のか? 間桐邸には(確か)電話がないのは凄すぎだと思います。
2010.1.14th
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