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黄金のプチねた#90八極概要

 伏虎。降龍。分心掌。穿捶。蓋捶。野馬掌。棒肘捶山。単風掌。

 言峰綺礼の見ている前で、薫が金剛八式を繰り返す。
 伏虎(振り上げ)降龍(打ち下ろし)分心掌(引き込みと体の開き)穿捶(中段突き)蓋捶(跳躍からの突き)野馬掌(押し崩し)棒肘捶山(払い落としからの突き込み)単風掌(すくい上げ)
 金剛八式は八極拳の基礎ではあるが、実際には金剛拳。少林拳の一派、羅漢門の金剛羅漢拳の基本功が元である。
 八極門の金剛八式はこれを元に八極拳としての工夫を加え、取り入れたものだとか。元の金剛拳も力強く荒々しく、風格が似ているらしい。

 続いて薫は、八極小架の動きに入る。
 八極拳は本来は、小八極(八極小架)と大八極(八極大架)の二つの套路(型)のみであったという。
 小八極・八極小架は老八極とも言われ、古い八極拳である。
 動作は二十数動作、単純ではあるが無駄がなく、古い時代に成立したことが伺える。
 その技法は六大開、これは六種類・六方向の発勁(力の出し方)から構成されてる。つまり六大開こそが八極拳の根本技法であり、この六大開という発勁法を戦闘技法に展開した基礎技法が小八極・八極小架ということになる。

 さらに薫は大八極、八極大架の動きを続ける。
 大八極は新八極とも呼ばれる套路で、新しい八極拳だ。
 とはいえ既に年季の入ったものであり、現代においては八極拳を代表する套路(型)である。
 八極拳にも様々ある。しかし八極小架、八極大架と教える流派であれば、大八極・八極大架は後に修する「八極対打」相手がいる二人練習のための動きと同一だ。
 つまり、大八極は対打修練である八極対打の動きを一人で練習するためのものである。
 ちなみにいうと、対打練習は打たれ強さの養成も兼ねていて、六肘頭という動きが攻撃の六大開にたいして防御の技法となっている。

 そして薫は八大招を綺礼に見せる。
 八大招は、八極拳の絶招(必殺技)のように言われるが、それは微妙に間違った認識だ。
 覇王折江・硬開門・通天砲・黄鷹双爪・猛虎硬爬山・朝陽手・三点手・迎門三不顧。
 これらの技の多くは他流派の技である。
 覇王折江は劈掛拳、猛虎硬爬山は通背拳、通天砲や迎門三不顧は翻子拳にその原型があるという。
 八大招とは、近隣の名拳の代表的な技法を八極拳風にアレンジして取り込んだものであり、戦闘の枠を広げると同時に、敵となるやもしれぬ他流派の技を学ぶものともなっているのだ。
 おそらくはこれからも、八大招は発展、変化を続けていくのだろう。

 一通りの套路をこなした薫に、綺礼はヨシと声をかけて呼び寄せた。
「薫、お前には私が父、言峰璃正より習った套路を教えている。私は武術の正道を外れ、心のない武術の邪道に落ちてしまった。だが薫、お前には武術の正道を進んで欲しい」
 真面目な顔で、綺礼は薫にそう言った。嗜好はともかくこの男、求道者としては生真面目だ。
 しかし薫は苦笑する。
「おじさま、それはちょっと厳しい要求だと思いますよ?」
「そうか?」
「そうです」
 むぅ。と眉を寄せる言峰綺礼に、言峰薫は「でも頑張ります」と言い、再び套路をやりだした。


あとがき
 金剛八式は、李書文が李瑞東より伝えられ、後に八極拳の基礎としたとか。
 八極拳にも色々あって、教授内容は統一されてないんですね。上記内容、間違いでしたら教えて下さいませ。
 なお、手合わせした相手を殺しまくり、神槍とも気違いとも言われ恐れられた李書文は、猛虎硬爬山で有名ですが、彼の猛虎硬爬山は一般的な八極拳のそれとは違う、発展・変化したものらしく注意が必要かと思われます。
2009.10.23th

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