黄金のプチねた#70乱入
冬木教会居住棟の一室で、言峰薫はうなされていた。
毛布をはね除け、身をよじる。乱れぬようにまとめた三つ編みが、シーツの上でのたくった。
「うーん、うーん」
息苦しいのか薫は仰け反り、口を開いてハァと荒く息をつく。
……悪夢を見ている。
「フハハハハハハ」
言峰綺礼が嗤っている。
燃え上がる炎を背にし、焼け落ちた街を踏み付け立っている。その手には、沸騰する泥を持っていた。
泥は黒く、そして赤く、白い蒸気を上げて強い香気を撒き散らす。
「フハハハハハハ」
さらに右手のレンゲを用い、泥、ではなくて麻婆豆腐を激しくかっ込んだ。
「ククククククク」
かみ締める間にも、赤い臭気が周囲に広がり人々を卒倒させる。赤き地獄の物体X、呪われたマーボー豆腐を高く掲げて使徒たる綺礼は高らかに笑い続ける。
「ははははは、アーッハッハハッハッハ」
笑う者がもう一人。ギルガメッシュがふんぞり返る。その手には、光り輝く金ピカなオムライス。
目映い光に眼を焼かれ、多くの者が地に伏せる。
よく判らないが地獄である(多分)
そんな中に駆け込む者がいた。尼僧服をなびかせて、彼女は大きく地を蹴った。
—— ホップ・ステップ ——
「カレーライス!!!」
「「うわーっ?!」」
シスターが両手を広げるとカレー皿は宙に舞い、二人の魔人を爆破した。
やおらシスターは立ち上がり、眼鏡をくぃっと直して振り向いた。
「見ましたか?! これがフランスです!」
「ぅーん、それはインドー」
むにゃむにゃ寝言を呟いて、薫は寝返りをうった。
あとがき
プチねたで初登場させてしまった。いや、正体は誰も知らない(多分)
2008.3/3th