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黄金のプチねた#62セクシー

「いいじゃんかよー」
「俺たちと遊ぼうぜー」
「うひゃひゃひゃひゃひゃ」
 冬木市新都の繁華街。薫は外れの路地裏で、にやけて頭の悪そうな連中に囲まれた。
 会社の仮眠室か社長室のソファーで寝ようと思い街に来て、その前に、何か食べようとうろついていたら絡まれた。
 ……家出少女と思われたか。どっか行けよロ〇コンども。
 チッと内心、舌を打ち、下品な奴らに睨みを効かせてみるのだが、ニヤつくばかりで立ち去らない。
 そもそも下品な奴は、マナーに価値を感じていない。そんな連中に空気を読めというのが無理な話だ。
 この手に連中相手にこそ、言いたいことは言わねばならぬ。
「他を当たってください」
 最低限ですまそうと思ったのだが、駄目だった。
 男三人はさらに顔を歪めていやらしい顔となる。値踏みするようなその顔が、どうにも気持ち悪くてたまらない。
 男達からしてみれば、家出少女をどこかに連れ込み楽しもうという魂胆か?

 だがしかし、言峰薫が「よい子」でいるのは、世界でたった二人の前だけだ。

 ゆっくり呼吸を整える。へそより下の下腹部に力を込めて、腹腔内圧を急上昇させ丹田に暴力的な圧力を蓄える。更に胸部に空気を溜め込んだ。
 あとは息を吐き出せば、体腔内圧は解放されて打ち出す拳が凶器に代わる。
 爆発呼吸の準備を整え、薫はそっと足を進めようとした。しかし——
「まちたまえっ! お前ら!! 何をしているっ?!」
 若い男の声が割り込んだ。
「何だぁ、……」
「関係ねぇ、……」
「邪魔すんじゃ、……」
 軽い頭をクネクネさせつつ振り抜いた連中が、不思議な踊りを凍り付かせた。

 —— そこにアイツは立っていた ——

 年の頃は高校生。ツンツンした髪型で、真っ直ぐこちらを見つめている。
 なぜか上半身が長袖の紳士用下着むきだしで、肩になんというか、カッターともブーメランともアイスラ〇ガーとでも言うような板状の円盤?を付けていた。それはきっとチャームポイント。
「な、何だおまえ?」
 問い詰める男の声が上擦っている。少年は、しかし質問を聞いていないかのようにツカツカと歩み寄る。
「お前達! その子が迷惑そうにしているのが判らないのか?! もっと常識を勉強したまえ!!!」
「「「お前に言われたくねぇよ」」」
 何だとっ?! 円盤カッター少年は言い返すが、薫もツッコミ入れそうになったのは秘密である。
「大丈夫かい? お兄さんが守ってあげるからもう大丈夫だ!」
 などと言ってニカッと笑う円盤少年。
 ここに正義の味方が現れた! ア〇スラッガーを装備している。それが正義の証である!(推定)
「んだごらー!!!」
 瞬間的に脳味噌が人間以下に退化する特殊能力を発動させて、男三人は珍獣「今どきチンピラ? うっそー、だっさーい(モンスターレベル1)」に変身した。
 少ししかない知能をみせて、少年と薫を取り囲む。
「あの、」
「下がっているんだ!」
 薫の言葉を聞かない風に、少年は一歩まえに出る。そしてゆっくり両手を挙げた。

 —— ハァァァアアア ——

 静かで野太い呼気の音が辺りに響く。指先まで伸ばされた両腕が左右に大きく広がり、羽ばたくような動きはまさにキグナス(白鳥)! そして少年の瞳は影の中、爛々と光り輝いた。
 その動きに薫の目が大きく開かれた。まさかこれはあの伝説の?!
 アゴを落として硬直した男達。効果は抜群だ! だが少年の動きは止まらない!!!

 —— ハァァァアアア ——

 少年の両手は前に寄り、いくぞとばかりにズボンのチャックを引き下げた。
 薫は仰け反り、おののいた。これは伝説の流派の基本にして王道、その名も。

 —— セクシ〇コマンド〇 ”エリーゼのゆううつ”(通称;エッちゃん)!!! ——

「隙ありィィイイ!!!」
 あっけにとられた男の一人を少年のパンチが吹き飛ばし、道ばたのゴミ箱に叩き込んだ。
 なにぃ?! 二人となった珍獣チンピラは後ろに下がり、少年は薫の前に戻って来る。
「ナ〜イス・セクシー!」
 薫の声に少年は驚愕の表情で振り向いた。
「まさか君もか?! 俺の知らないこんな街で、まさか君も知っているのか?! そんな君もセクシーメイツか?!」
「貴男こそ、まさかまさかの使い手ですか?! そんなばかな! あれは伝説ではなかったのですか?! しかし見ていてください!!!」
 薫は一歩、前に出る。

 —— ハァァァアアア ——

 呼気を響かせ、薫は両手で鼻と口を覆い隠した。そしてお尻を動かして、尻文字を書くようにクネクネさせる。
 その異様な前振りに、男二人は動けない!

 —— ヂュワッ ——

 言って薫が隠した口元を露わにすると、そこにはヒゲが生えていた。
 少女の鼻下に突如として出現した見事なヒゲに、男二人は我を忘れた。
「隙ありっ!!!」
 薫は双掌打で男を飛ばし、ゴミ箱に突っ込ませた。
「それは伝説のセクシー技! ”セバスチャン・インパクト” 使い手がいるとはナ〜イスセクシー!!!」
「サンキュー、しかし貴男こそさっきの技はナ〜イスセクシー!!!」
「「イェ〜イ」」
 付けヒゲをした少女と、ズボンのチャック降ろしたままの少年が親指立ててお互いを称え合った。

 伝説。それはセクシーコマンドー。
 一部では幻の格闘技と言われ、格闘技に精通した者にもその実態は知られていない。
 他の格闘技との決定的な違いは、相手の隙を無理矢理引き出し、そこに攻撃するというスタイルである。例えば中国武術の「酔拳」などは、だれが何と言おうとセクシーコマンドーなのである。
 意外性を武器にするセクシーコマンドーは、元々セクシーな人にはあまり向いていないとされる。使い手のことをセクシーメイトと言ふ。ちなみに賞賛の掛け声は「ナ~イスセクシー」

「何だお前ら? (ピー)か? (ピー)なのか?」
 検閲用語で喚く男に、少年少女は振り向いた。そして、
「「ハァァァアアア」」

 あーっ

 路地裏から悲痛な叫びがしたのだが、表通りの通行人は誰も気が付きはしなかった。


あとがき
 物語は、あさっての方向に加速する!(違う)
「セクシーコマンドー外伝すごいよ!!マサルさん」とのプチクロス……なのかなぁ。一応、前々から書く予定ではありました。
 意外とこういうのは私的に難易度高くて……。しかも続くし(ちょっとだけ)
2009.1.20th

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