黄金のプチねた#58小さく胸を張る
「凛、ちょっと着てみて良いですか?」
遠坂邸の凛の部屋。包みをほどいて出てきた服に、言峰薫が注視している。珍しい。
へぇ。凛はその目をパチパチまばたきした。
「いいわよべつに。じゃあ私は紅茶を用意するから先に降りるわね。せっかくだから着たのを見せてちょうだい」
判りましたと返事を聞いて、一階のキッチンへ移動する。
部屋に残った言峰薫。服を手にして小さく震える。
—— 真っ白なブラウス、紺色のタイトスカート、同じく紺のリボンタイ ——
そして黒のタイツである。もうこれはやるしかない!
上下がつなぎのワンピース、なんちゃって尼僧服を脱ぎ放ち、タイツに足を通します。
ブラウスを着用し、スカートの留め具を閉じる。そしてタイを首に巻く。
まだまだチェンジは終わらない。
腰まで伸びた黒髪を二つに分けてそれぞれを三つ編みに。そして頭の後ろ、高い位置でとぐろを巻かせて止めてみる。
……完璧だ!
鏡の前に移動して、腰に手をやり胸を張る。うむ、まだ平らな所も似てるじゃないか!
ステキな笑顔を貼り付けて、言ってみるぜあの台詞。
「シロウ! お腹が空きました!!!」
くっくっく、似てねー。クックックックック。薫は髪を解いた。
(……シロウって誰かしら?)
降りてこないので呼びに来た遠坂凛が、ドアの向こうで首を傾げた。
あとがき
この後「シロウ」のことを凛が綺礼に尋ね、結果として凛&綺礼&切嗣による「士郎と薫をラブラブに作戦」が!
などを考えるから本編の進みが遅くなるのです。あはははは、没。
2009.1/19th