黄金のプチねた#55自分探し
薫は思う。
人生とは、例えるなら一冊のノートなのではないか。
この世に人が生まれ落ち、ノートに名前が記される。最初の書き手は自分じゃなくて、お父さんかお母さん。
笑った。泣いた。立った。歩いた。
幼い内は、自分でノートに書けなくて、他人がノートに書いていく。
だがある日、人は「自分」に気が付き「自我」に目覚める。
自分の意志と行動が、人生というノートに書き込む力となる。
そして時間は過ぎていき、ノートに書かれていることよりも、ノートにこれから何を書くかが大切なのだと気付くだろう。
こうして「自分探し」の時間は終わり、「自分作り」が始まり本当の意味で大人になるのだ。
なのですが。
「薫、用意は出来たか」
「……はい」
月に一度の広告用写真撮影。薫ちゃんはキレイなウェディングドレスを着ています。
言峰薫。人生がなかなか思うようになりません。ウェディングドレスになれてしまった自分がかなり悲しい。
あとがき
プチねたなのに長いものになりがちでした。短かくするのに挑戦です。
2008.10/30th