黄金のプチねた#51おつまみ
「どうぞ」
そう言い薫はテーブルに二つの皿を静かに置いた。ここは夜の言峰教会居住棟。応接室にいるのは綺礼とギルガメッシュと薫である。
「「むぅぅぅううう」」
綺礼とギルガメッシュは腕を組み、お皿の料理を睨んでいる。
「大丈夫ですよ? ちゃんと食べ物です。日本以外でも昔から食べられてきたタンパク源です」
言って薫はつまみ上げ、ぽいと口に放り込む。
ぱりぱりと小さな音が数回聞こえ、ごっくんと薫は飲み込んだ。
「まあ良いだろう。従者たるカヲルが用意したとあっては我(オレ)が食せぬ訳にはいかぬ」
「……良かろう。確かにこれは伝統食だ」
言ってそれに手を伸ばす、マスター&サーヴァント。
今日のお酒のおつまみは「イナゴの揚げ物」と「イナゴの佃煮」だった。
「「……」」
まず揚げ物を口にした二人だが、不思議な顔で押し黙る。
「……珍味だが、一番近いものに例えるなら、エビであるな」
「……エビかというと違うのだが、近いとなるとエビだな」
パリパリと殻を噛み砕く感触だ。足が付いてる奴が特に近いような気がする。
佃煮にも手を伸ばす。
「「……」」
再び黙するマスター&サーヴァント。
「……なんだと言うと当てはまるものがないのだが、エビだな」
「……ああ、エビとはまったく違うのだが、何に近いというと、小エビだな」
腕を組んで考え込んだ二人のグラスに、薫はニコニコしながらワインを注いだ。
あとがき
意味はありませんが、平和な日常のシーンは書きたいのです。
2008.10/30th