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黄金のプチねた#48少年と不思議な少女

 教会のオシャレな中庭で、教師と生徒が向かい合う。
 教える男は西洋人にしては小柄であるが、瞳に知性の光を宿す。彼は的確かつ丁寧に、時には根気よく教えているようだ。
 教わる少女は日本人。しかし着ているのは教会の尼僧服であり、手にしているのは新約聖書に旧約聖書。どうやら今日の授業のテキストらしい。
「あのなカオル。日本語のツボは助詞だろう? 〜で、〜を、〜に、〜も、〜が。これらを適切に使用すると、単語の順番がいい加減でも意味が通じるのが日本語なんだ。でもな、逆に英語は順番によって文中の意味が決まるんだよ。だから英語のツボは言葉の順番、文型だ。そして主語を省略しないのが絶対だ。Do you understand ?」
「いぇす、あぃ・あんだーすたんっ」

 ……とりあえず、発音はまだまだだ。

 まぁ、多少おかしな発音でも、話す中身に価値があるなら大丈夫だ。もしろどんなにネイティブな発音だとしても、つまらない人間を相手にするほど欧州の人間はヒマじゃない。英語の前に日本のことを勉強しろよ日本人。
「そうなんですよね。母国の文化を学習したその上で、外国の異文化を更に勉強するため留学するのが本当なんですけどね。留学といって遊びに行く日本人は世界の非常識でお恥ずかしい。あー、でも世界が狭くなったってことでしょうか?」
 苦笑しているのは言峰薫(7才+α)ウェイバーが英語を教えることになった女の子(リトル・ガール)だ。
 教えているのはスタンダード・イングリッシュ(英国標準英語)とクイーンズ(上流階級用英語)である。
 教え始めたときからカオルは英語を話せていた。しかし発音がメチャクチャで、礼儀もクソもない頭の悪い状態だった。これは確かに宜しくないと、ウェイバーはカオルをお嬢様(リトル・レディー)に相応しくあるようキレイな英語を教えている。
「いや、別に私はもう少し適当でも良いと思っているのですが」
 ダメだ。お前には是非ともレディーになってもらう。こっちも命が掛かっているのだ。オマエに選択の余地はない。
「ひどっ! ウェイバー先生、それは酷くないですか?!」
 やかましい。高い給料分は教えてやるから、さっさと覚えろ! そしてボクにヒマを出せ。
「そうはいきませんぜ、先生。へっへっへ。先生とは末永くお付き合いいただきます。あだっ。なにデコピンしてんですか?! おじさまにもデコピンされたことないのに?!」
 知るかそんなこと。休憩終わるぞ。それと次からこれをやるから読んでおけよ。
「神秘学概論・神智学・いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか・自由の哲学。うわ、これってルドルフ・シュタイナーの神智学四大図書じゃないですか?」
 よく知っているな。じゃ、読んどけ。
「待ってください先生! どう考えても初等部二年の私が読む本じゃないですよ?! それにこれ原文はドイツ語で、って、ドイツ語版が混じってるぅぅうう?!」
 カオルが悲鳴を上げるが、そんなことは知った事じゃない。こいつも物分かりは悪くないから大丈夫。神父にはラテン語とイタリア語も教えてくれと言われているし。
「ちょっと待ってください! 聞いてませんよそんなこと!! 何処ですかおじさま?!」
 待て、今日で聖書は終わらせるんだから逃げるなよ。大丈夫だ。英語がわかればラテン語もドイツ語も余裕だよ。文法同じだからな。カンサイベンみたいなもんだ。それに教えるといっても触りだけだ。ボクも英語以外は喋れるって程じゃない。読むのは平気だけどな。
「くそぅ、凛にはドイツ語かんべんしてもらったのに。おじさまのバカ」
 凛、遠坂凛か。遠坂時臣が死んで、でも言峰綺礼が生き残り、ここにあの金ピカがいるって事は……。
「あー、ウェイバー先生。そこから先を口にしたら死にます」
 わ、判ってるよ! くそぅ、オマエよくこんな所で生活してるよな?!
「まぁ、私にも色々と事情というものがありまして、先生は優秀な方ですから、その辺はご理解いただいていると信じていますよ?」
 だったら文の最後を疑問系にするなバカ。ああ、判ってるよ。だからお前が言う「大きな王様」は絶対にボクの前に連れてくるなよ? 判ったな?!

 ウェイバーはそっと額の汗を拭った。そんな彼に、薫という少女が苦笑しながらハンカチを差し出した。


 あとがき
 レッスンが終わると携帯ゲーム機で対戦とかしているでしょう。
 ウェイバーは黒いガ〇ダム・マーク2、薫はケン〇ァー、本気出すとイフリ〇トです(うそ)

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