トップ 管理人プロフィール オリジナル小説 二次創作トップ 頂き物 ご意見感想掲示板 ときどき日記 メール リンク ぶろぐ日記

黄金のプチねた#46少年とアルバイト

 冬木市新都で起こった大火災から半年の時間が過ぎた。ここは冬木の深山町、洋風な家が並ぶ山側の、とある家の前である。
「おーい、ウェイバーや、タクシーが来たぞ」
 家の主人たるグレン・マッケンジーは、大きな声で孫を呼ぶ。しばし待つとドアが開いて一人の青年が姿を見せた。

 彼はウェイバー・マッケンジー。カナダから移り住んだマッケンジー夫妻の孫である。

 ウェイバーはカナダのトロントで親、つまりグレン老人の息子夫婦と暮らしていたが、七年ぶりに日本を訪れ、思うことがあり大学を休学して滞在している。
 ちなみに眠そうなのは最近覚えたテレビゲームのやり過ぎだ。いや、他にも色々と体験しているせいで、きっとゲームのせいじゃない。
 しかし太陽の光が眩しい。同盟軍を指揮して強大なブリタニア帝国を打破した朝に相応しい輝きだ。
 ……いや、だからボクは断じて徹夜でゲームをしてなどいない。そうだ、二時間くらいは寝たはずだ。
 ウェイバーは祖父に促されつつタクシーに乗り込んだ。
「それでお祖父さん、今日は何処に行くんだって?」
 日本に来てから半年あまり。ウェイバーは何ごとも体験と、様々なアルバイトに挑戦している。皿洗いや力仕事から始まって、最近ではウェイターや事務もやる。
 始めは英語しか話せなかったが、今では多少の日本語だって大丈夫。
「うむ、今度のアルバイトは家庭教師じゃ。確か七歳の娘さんだったかな。その子に本物の英語を教えて欲しいということらしいぞ」
 へぇー。とウェイバーは寝ぼけ眼で返事を返した。まずは会ってみたいということで、朝も早くにお出かけだ。
 眠いなら着くまで寝ればいい。そう言われたウェイバーは、じゃあと答えてまぶたを閉じた。

「……ねえ、お祖父さん。家庭教師って、ここで?」
 再びまぶたを開けたとき、ウェイバーは激しい後悔の念に襲われた。
 教会だった。
 西洋人にとって極東の地であるこの日本。その日本にはもったいない白亜の教会。広い敷地と花咲く花壇、向こうの方には墓地もある。
 そんな「冬木教会」通称「言峰教会」と呼ばれているのは彼は知らなかったりするのだが、ともかくウェイバーはこの教会を知っていた。
「Ah…hum? どうかしたのかウェイバーや?」
 祖父のグレンがこっちを見ている。
「お祖父さん、ボクちょっと調子が悪いみたいだ。今日は帰って寝ても良いかな? HA.HA.HA.HA.HA.」
 何を言っておる。グレン老人に腕を引かれる。
(待ってお祖父さん! ここは危険!! とても危険な場所なんだ!!!)
 叫ぶわけにもいかなくて、ウェイバーはズルズルと引きずられる。半ば開かれていた礼拝堂の扉をくぐり、中に入ると一人の男が立っていた。
「おはようございます。マッケンジーさん、朝早くから申し訳ない」
「いやいや、綺礼神父。お父上の璃正神父が亡くなられた後、あんたは立派にやっているよ。ワシも少しは助けになると良いのだがな」
(はぁ? 死んだ?! 璃正神父って監督役のあの神父だろ?! 死んでたのか?)
 ウェイバー・XXXxX。実は冬木で自分以外のマスターとは一度も面と向かって会ってはおらず、戦いが終わった後も事後処理には注意を払っていなかった。
 ふと考え込んだ彼の横に大きな影が寄り添った。我に返って横を見ると、そこにいたのは大きな男。身長は190センチ近くある。160に満たない彼にとっては見上げるほどの大男だ。
「始めまして、ウェイバー・マッケンジー君。私はこの教会を任されている言峰綺礼という者だ」
 ニヤリと不吉な笑みを浮かべるその男、言峰綺礼。ウェイバーは彼と会うのは初めてだった。


 あとがき
 ……やっちゃった。
 ウェイバーが他のマスターと一度も顔を合わせていないことに驚愕しました(ロード・エルメロイとも冬木では会ってない)綺礼のこと知らないじゃん?!(汗)
2008.9/25th

トップ 管理人プロフィール オリジナル小説 二次創作トップ 頂き物 ご意見感想掲示板 ときどき日記 メール リンク ぶろぐ日記
inserted by FC2 system