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黄金のプチねた#42湯煙

 衛宮邸のお風呂はヒノキ造りの木のお風呂。お湯を張ると檜の香りでアロマ効果も発揮する。
 割と広い作りの洗い場で、切嗣と士郎が体を洗う。
 やせ気味の切嗣の体であるが、しかし鍛えられて筋肉質だ。息子の士郎はそんな父親を逞しく思って憧れる。所々に傷跡がある彼の背中を、士郎は手ぬぐいで洗って流してやるのだ。
「ありがとう士郎」
 切嗣の微笑みに、士郎はへへへと笑い、ニカッと無邪気な笑顔を作る。
 そのなんでもない士郎の表情こそが、切嗣の心を支えてくれる。
「よーし、じゃあ湯船に浸かってあたたまるか!」
「おう!」
 親子は何の意味もなく、裸で並んで胸を張る。だがそこに、
「切嗣さーん、士郎ーっ。背中流しちゃいまーす」
 タオルを体に巻き付けて、藤村大河が乱入した。
「「うわああああああああ!!!」」

 どっぽーん。男二人は風呂桶に飛び込んだ。

「あれーっ? どうしたんですか二人とも?」
 大河は首を傾げている。
「た、大河ちゃん。何で入ってきたのかな? ほら、僕たちが入浴中なんだけど」
「そ、そうだぞ藤ねえ。今は俺たちが入ってるんだから、藤ねえは待ってろよ」
 切嗣は背中を向けた状態で、士郎は顔を斜めに向けて、抗議なんかをしてみます。
「いいじゃない。ほら二人とも、私が背中を流すからこっちこっち」
 カモン・カモンと手招きする藤村大河。
 切嗣は脳細胞を疾走させる! この危機を乗り切るための方策を考えろ!
 こんなイベントが発生したと知られたら、藤村組と戦争になりかねない。あるいは雷画氏から大河のお見合い写真が届いたりするかも知れない。
 それはまずい。非常にまずい。
 良い子だとは思うのだが、僕は断じてロリじゃない。そして決してペドじゃない。この心には譲れぬ一線を持っている!
 そして彼は決断した。

 ーー 逃げよう ーー

「ああ、それじゃ大河ちゃん。士郎の背中を流してやってくれ。僕は士郎にやってもらったからね。HA.HA.HA.」
 極々自然な風を装って、切嗣は脱衣所へと避難した。後ろ手で引き戸を閉めて、士郎の言葉を遮断する。ごめんよ士郎。大人っていうのは正義の味方じゃいられないんだ(嘘)
 涙をこらえた切嗣の耳に、士郎の悲痛な声が聞こえた。

 ーー 返せよぉ、俺のスポンジ返せよぉ ーー

 ーー うわ、うわ、うわ ーー

 士郎! グッドラック!!!
 洗面所の曇った鏡が、切嗣のステキな笑顔を映していた。


2008.8/5th
 ……何書いてんだ私、orz
 いや、でもやっぱり衛宮邸お風呂ネタは書きたかったのです。

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