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黄金のプチねた#36騎兵刀

 薫は右手で柄を握り、一気に鞘から引き抜いた。 その刀身は緩やかなカーブを描き、鋼の刃が月の光に煌めいた。
 それは軍刀(サーベル)ではなく装飾の施された「騎兵刀(セイバー)」
 刀身の鋼は白銀に磨き上げられ、握り手を守るナックルガードは黄金と宝石で飾られて少々ゴチック(装飾過剰)風だ。
 片手専用の騎兵刀。薫は中段の高さに構え、魔力を通して起動する。

 ーー 術式・起動。九連斬擊!!!(九・頭・龍・閃) ーー

 瞬間。騎兵刀の刀身は宙に編み目のような煌めく線を描き上げた。

 パチ・パチ・パチ。夜の空き地に拍手が響き、言峰綺礼が薫に近づく。
「上手く動作したようだな。それならギルガメッシュの手首を落とせるのではないか?」
 綺礼はそう言い、笑みで口元を歪めるが、薫は肩を押さえて顔をしかめた。そして騎兵刀を一振りする。刀身からは魔力が吹き出し斬擊は空気を裂いた。その一撃は神速の域にあるかもしれない。だがしかし。
「ダメですね。これは。魔力放出に対応させて、斬擊パターンを登録・起動してみましたが、やはりプログラムでは「意念」が宿りません」
 そう言ってため息を付く言峰薫。あーあ、と少し残念そうだ。
 魔術礼装「騎兵刀(セイバー)」鋼で作った戦闘用魔術礼装だ。その機能は魔力をよく通して刀身からの魔力放出を可能にし、更に刻印された斬擊パターンを再現するというものだった。
 しかし薫はお気に召さなかったようである。綺礼が聞けば、勝手に動く剣なら「ダンシング・ソード」の方がいい。と言うことらしい。
 そう言うわけで没だそうだ。摂理の鍵が組み込めないのもダメだとか。
「そうか。ところで、九頭竜とは確か土砂崩れを神格化、妖怪化した概念だったな。さしずめ敵を斬擊で一気に飲み込む。といったところか」
 九連擊ならヘラクレスではないのだろうか? などと思いつつ、綺礼は薫に渡された騎兵刀を掲げて観察する。
「いえ、そーでもないですよ」
 そう言い薫は頬に十字を切っていた。何かのまじないなのだろうか? そんなことを思う綺礼の耳に、くっ、次は戦場を駆ける狼の牙。突きの礼装だ。などという薫の呟きが聞こえたとか聞こえなかったとか。


2008.7/6th
 アサシン緋村抜刀齋、アサシン志々雄真実、アサシン瀬田宗次郎、アサシン……。
 などと夢想したこともありました。

・騎兵刀(セイバー):分類、魔術礼装。
 鋼で鍛たれた軍刀(サーベル)を魔術的に加工し飾り立てた騎兵刀(セイバー)
 刀身からの魔力放出を可能とし、幾つかの斬擊パターンを自動的に再現する。
 便利なのだが、自動斬擊に殺意は乗らない。ダメだこりゃ。と薫は判断した。加速するだけなので神秘は宿らず、物理的な攻撃力しかないとする。

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