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黄金のプチねた#32ふわふわ

「やるわよ」
「はい」

 ここは遠坂邸の地下工房。今日も二人の少女が秘密の会合をやっている。
 しかし甘い空気などはなく、ハートが飛び交うこともない。
 遠坂凛は部屋の中にもかかわらず、パッと日傘を押し開く。白い布地に刺繍がされて、レースで縁取りされている。
 続いて言峰薫も日傘を開く。同じく白くておしゃれなパラソルが、ふわりとソフトに広がった。

 ーー Anfang.(セット)告げる ーー

 凜と薫が呟くと、白い日傘に魔力が通り、秘めた力を世界に示す。二人の少女はふわりと浮かび、シャボン玉みたいに揺れている。
「どう?」
 凛が笑って視線を向けると、薫も笑顔で嬉しそう。
「おおー。これはいいですねー」
 ふふふんと鼻歌まじりで白い傘をクルクル回す。刺繍された蝶の模様もクルクル回る。

 飛行用魔術礼装「魔法のパラソル」飛行の中でも「空中浮遊(レビテーション)」に特化した礼装がこれであった。

「気分はメリー・ポピンズですね」
 傘にぶら下がって薫が左右に揺れている。
「飛行の制御は大変だから、本当はこういう礼装で出来ると良いんだけどね」
 対して凛は綺麗に静止。やはり格が違います。
「使ってる概念に「蝶」が混じってますよね? 桜ちゃんにも使えますか? これ」
「何言ってるのよ、遠坂と間桐は不干渉。魔術技法は見せられないわ」
「えー、良いじゃないですか。宝石使ってないですし。というかわざと宝石使わなかったのでしょう?」
「ふん。この程度の礼装に宝石はもったいないわ! ちょっと浮くくらい魔術師だったら楽勝よ。……何よその顔は」
 見れば薫がニヤニヤと笑っている。むかつく。だんだん綺礼に似てきた気がするこの娘。
「いえ別に。ふふふーん」
「何よ」

 二人はフワフワ浮いている。


2008.7/4th
 魔法のパラソル(分類:魔術礼装)
 空中浮遊(レビテーション)制御用の魔術礼装。魔力を通すとふわふわと術者を持ち上げる。傘の布地に鳥や蝶、流れる風などの刺繍がされているとする。ゆっくりとなら上下左右に移動できる。多分、間桐桜にも使える。

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