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黄金のプチねた#28この〇〇め!

 時は夜。教会裏手の開けた土地に、言峰薫の呪文が響く。
 そこには祭壇が組まれており、組み木の中に炎が燃えて、夜空に煙をもくもく上げる。あまり地球に優しくありません。
「……。見つめるモノよ、見つめる瞳を焼くモノよ、伝説に謳われし、汝を我は呼び起こし、……」
 炎を見つめ、煙を見つめ、薫は呪文を唱えて繰り返す。炎を讃え、煙を賛歌し、見つめる瞳を擬人化し、存在概念を束ねてまとめて収束させる。

 ーー 降霊術(セアンス)概念喚起(ダウンロード)都市伝説(クロウリング・レジェンド) ーー

 渾身の呼びかけによる儀式魔術は成功する。夜空を穢す煙の中に、濁った黄色と充血した赤い瞳が開かれた。

「で、宝石を使わないでこんな使い魔が出来たと。……」
 ここは次の日、遠坂邸。凛はこめかみを人差し指で揉みほぐす。ちょっと青筋浮かんでます。なのに薫は笑顔を浮かべ、やったぜ! とでも言いただ。
 そんな薫の頭の上に、濁った空気が渦を巻く。霊視を効かせて見てみれば、黒いモヤを纏った触手付きの円盤みたいなモノが見て取れた。
「で、何これ?」
 低く抑えた凛の声、それに薫は元気な声で応えます。
「はい! これは光化学スモックを擬人化・妖怪化した都市伝説「バッグ・ベアード」です。ちなみにアメリカ生まれですね。さあ、ベアード! その目を開き、恐怖の叫びを撒き散らすのだ!」
 何故かノリノリの言峰薫。ハッハー! と逝ってしまった笑顔で命ずると、スモッグに身を隠した妖怪(?)が目を開く。
 白目にあたる部分は黄色く濁り、瞳は真っ赤に充血している。そういえば、目を合わせると目が腫れるとかいう話だったと思い出す。ふふん、遠坂の当主を舐めるなよ。降霊魔術で弟子が作った妖怪もどきで師匠がやられる訳がない。
 バッグベアードは目を開き、体を振るわせ叫びを上げた!

 ーー コノ、ロリコン、メ! ーー

 よっしゃー! と薫は拳を握り、Yes,Yes.と親指を立てている。対して凛は、は? と、口を開けて呆然です。
「ちなみにコイツは成長すると「ロリコン撃滅光線」を撃てるようになります」
 ふっふっふ。などと弟子が笑っている。ああそうか、そうなのか。

 ーー Anfang.(セット) ーー

「凛、なぜ魔術回路を起動するのですか? ちょ、刻印光ってますよ?! 待ってください! どうして指を指すのですか?!」

 ーー Es läßt frei. Eilesalve!(解放。緊急一斉射撃!) ーー

 ガンド(呪いの弾丸)が飛びました。
「ああーっ!!! ベアード! ベアードぉぉぉおおお!!」
 妖怪もどきは消し飛んだ。


2008.7.2th
 霊地冬木の平穏は守られた(うそ)

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