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黄金のプチねた#26くるっくー

 机の上に、宝石を削った小鳥とフクロウが並べられた。小鳥はみどりの翡翠製、フクロウは紫水晶で出来ている。
「これは私が作ったパペット(宝石の使い魔)よ。魔術師の目となり領地を監視するウォッチャーとでも言うのかしら? 他にも犬や猫に術者の爪や髪なんかを埋め込んで使役する使い魔(ファミリアー)なんかもあるけど、そっちは私は持ってないわ」
 ほほぅと小さく声を上げ、感心したように小鳥を手に取る弟子の薫を前にして、遠坂凛は胸を張る。
 これは「遠坂」が得意とする宝石の魔術工芸品(アーティファクト)で、使い魔となるパペットだ。
 キラキラ輝く宝石製のしもべ達。イッツ・ゴージャス。ビューティフル。遠坂凛は弟子の薫に自慢する。
「薫も遠坂の魔術師なんだから、パペットくらいは使えるようになってもらうわよ。形作るときに欠片が出るでしょう? それを指輪にでもはめ込めばパスを繋ぐのは簡単だから、貴方にだって使えるはずよ」
 へぇーと言って今度はフクロウを手にして観察している言峰薫。ちょっと貸してとフクロウを奪い取り、手のひらに載せて呪文を唱える。

 ーー Anfang.(セット) ーー

 すると紫水晶は仄かに輝き、光りの波紋が映って幻像が結ばれる。荒く削られていたはずの紫水晶の梟は、凛の手の中で本物のフクロウの姿になってホーホーと鳴き出した。
「なっ! 幻術での擬態ですか?!」
 薫が目を丸くしている。何を今さら言うのやら。この程度の擬装が出来なくては見られたときにダメでしょう?
「そういえばそうですね。うーん、しかしこれは凄いですね」
 薫はフクロウに顔を寄せ、にらめっこをしているかのようである。少ししてから薫はポンと手を打って、聖典紙片を取り出した。
「伝令式典、起動・展開」
 薫の命に紙片は応え、形を変えて羽ばたいた。

 ぽっぽっぽー、くるっくー、ぽっぽっぽー、くるっくー。

 紙片が変じた白いハト、薫の頭の上で丸くなって鳴いている。薫はふにゃっと机に突っ伏し、どうも和んでいる様子。
 偵察、伝令用にと組み上げた聖典紙片の「伝令式典」
 攻撃力は本当に鳩並みで、共有の魔術を修行中の薫では、まだ視界の共有も出来ていないはず。しかし薫自身は気に入っているかのようで、呼び出し、操り、くつろいでいるのです。

 ほー、ほー、ほー。ぽっぽっぽー、くるっくー。

 あんた何やってんのよ。言いたかったが、凛はそれを我慢した。


2008.7/2th
 薫の鳩は宝石細工というより紙細工です。

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