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黄金のプチねた#15ミーティング

「いらっしゃいアルーッ」
 がらりと扉が開けられると、元気な声が掛けられた。ここは冬木市深山のマウント深山商店街、そこに佇む中華料理屋の「泰山」である。
 現れたのはギルガメッシュだ。ちなみにまだ午前十時過ぎで店が開いて大して時間がたってない。
「黄金のジャスミンティーと飲茶を用意するがいい。後は……」
 天井近くに並んだ料理の札を眺めていると、店の奥なら声がした。
「麻婆豆腐、追加だ」
 なにっとギルガメッシュが目をやると言峰綺礼がそこにいた。綺礼もこちらに気が付き、目を見開いて硬直した。
 お茶が届き、飲茶をパクつくも二人の顔色は優れない。
 重い空気の中、綺礼はその口を開いた。
「……何故お前がここにいる? 今日は月曜、午前いっぱいグループの会議があったはずだが」
 言われたギルガメッシュも冷や汗をかきながら言葉を返す。
「貴様こそどうしてここにいいる? 今日は月例報告と来期のプラン認証で顧問の貴様にも招集がかかっていたはずだ」
 沈黙が訪れた。
「まずいな」
「ああ、まずいな」
「マーボードウフ、お待たせアルー。どうしたアルか二人とも? 冷めないうちにどうぞアルね」
 湯気を立てる真っ赤なお皿。
「……食うか」
「……そうだな」

 その頃キング・グループの会議室では、学校を休んで会議に参加した薫が、各事業の責任者を前にしてプルプルと震えていた。
「あの二人、……あ、の、ふ、た、り、はぁぁぁぁぁぁ」
 事業計画書と決算報告書を手にして顔を引き攣らせるチビッコ社長、言峰薫。
 しかし部長、課長はニコニコ顔だった。会長ことキング氏と顧問こと言峰綺礼がいると威圧感が強すぎて、息苦しいほどなのだ。
 そしてあの二人は有能だが、基本的に仕事を振り分けるのみであまり自分で動かない。以前はそうでもなかったが、最近は事業に深く関わらなくなってきている。しかしそれでも大丈夫なのである。
 なぜならチビッコ社長がここにいる。
 会長と顧問に比べれば小粒だが、それでもこの子は有能だ。実務は流石に出来ないが、この子は上に立つ者としての役目を立派に果たす。
 すなわち、展望を示し、意見をまとめ上げ、GOサインを出し、仕事を割り振りまとめ上げる。
 小さな体に大きなパワー。会長と顧問がいる時はフォローに回っているものの、二人がいないと充分に代わりを務める。
 今この時も背筋を伸ばし、瞳に知性の輝きを宿し、次から次へと案件を消化していく。

 狙いはコレです。ここまでをお願いします。マンパワーは充分ですか? 規模よりも純利益の確保を大事にして、え? ええ、融資を受けるのは来期にしようかと、間に合わない? 判りました。では銀行との会合をセッティングしてください会長には出ていただきますから。中央公園文化ホールの件はどうです? そうですか、藤村組にも見積もり依頼は出しておいてください。はい。談合はするつもりはありませんよ。

 清濁合わせ見て現実的なラインを探るそのセンス。利益のみを追求しないが事業規模を堅実に拡大させていき、取りまとめる能力を示しつつも部下を活かして仕事をさせる。
 そしてとうとうヨーロッパにも拠点を置くという。
 謎の実業家キング兄弟が、道楽でも会社を持たせるだけのことはある。頑張る社長に社員も結構奮い立つのだ。

 しかしである。

(あの二人! 今日は絶対に顔を出してと言ったのに!! 四半期に一度の大事な会議だからって言ったのにぃぃぃいい!!!)
 社長の胸の内は荒れていた。


あとがき
「神性」と宝具「黄金の林檎酒」の影響。そしてギルガメッシュと言峰綺礼の立ち振る舞いを見続ける薫には、以下のスキルが劣化スキルとして発現します。

・黄金律(お金持ち):黄金のオーラ、そしてギルガメッシュの振る舞いからの経験則。ぷち金ピカ。
・黄金律(カリスマ):C−−。ギルガメッシュか綺礼がいると激減する。本気になれば王気(オーラ)を放ち、国際企業を指揮することも可能になりつつある。だが多分寝込む。まだ体力がもたない。
・黄金律(スタイル):バランスの取れた体つきに成長する。突出した美形ではない。怪我をしても復元率が高く、重傷を負っても障害や後遺症が残りにくい。怪我が早く治るわけではない。

 ということにしておきます。さすがに多少の主人公補正をしないと辛いです。あってないような裏設定?ですが。
2008.2/11th

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