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黄金のプチねた#14新規事業開拓中

 黒塗りの大型高級車が路肩に止まり、金髪紅眼の青年と日本人の少女が地に降りた。
 キング・グループ会長ギルバート・キングことギルガメッシュと、グループ社長(一部)言峰薫の二人です。
「にぎやかな所ですね。この近くの店なのですか?」
 きょろきょろと辺りを見渡す薫に、ギルガメッシュはこっちだと先導する。王様が見つけたという気になるお店、そのリサーチに来たのです。
 表通りから一本、道を裏に行き、ギルガメッシュは真っ直ぐにお店の中に踏み込んだ。
「「「「「おかえりなさいませ、ご主人様」」」」」
「うむ」
 ずらりと並んだフレンチメイド(?)を前にして、さも当然とふんぞり返る王様。
「王様! あんた何やってんだぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」

 ーー メイド喫茶だった ーー

 いっそ冥土に行ってこい。そう思った薫に罪はない(多分)
「なんだカヲル? 貴様は我(オレ)の従者であるぞ。下女(メイド)如き下賤の輩、百や二百は率いて見せよ」
 さすが王様ギルガメッシュ、従者カヲルは目まいと頭痛が止まりません。言っておきますが冥土(メイド)喫茶は人材斡旋所でもなければ下女(メイド)の教育機関でもありませんぜ、王様。
「なにっ! そうなのか?!」
 素でボケてやがりますね王様。あははははは。いい加減、真面目に仕事しないとブチ切れますよ。本当に。
「待てカヲル。話し合おうではないか。ハハハハハ。まあ良い。今日の所は視察であるからな、実体を把握すればオッケーであろう? うむうむ」
 あさっての方を向いて一人頷くギルガメッシュ。薫の視線を無視します。
 とりあえず席に着く。当然のように指名をして専属のメイドを確保、珈琲を入れさせる。
 ご主人様は王様なんですか? グループ企業の会長さんなんですか? 女の子が社長さんなんですか、うわー凄いですねー?
 判っているのかいないのか、それなりにご機嫌のギルガメッシュである。別の意味での爆発を恐れ、薫は恐々としてる。
「「「「「おかえりなさいませ、ご主人様」」」」」
「遅れてすまない、ほうお前にこんな趣味があったのか」
 メイドさんをかき分けて、やってくるのは教会の僧衣に身を包んだ神父様。
「言峰綺礼! せめて服を変えてこいぃぃぃぃいいいい!!!」
 場所を選んで服を変えてくれ頼むから。信徒の皆様から色々と言われるのは辛いのです。
「何を興奮している? どうも振る舞いが乱暴でいかんな。どう思うキング会長?」
 ニヤリと嗤う言峰綺礼、薫は嫌な予感に襲われる。
「まったくその通りであるな。カヲル、貴様はどうも慎みが足りないぞ。この我(オレ)に使える栄光を鑑みて、日々跪いてしかるべきであるのにな」
 王様、私の毎日は土下座か貴婦人の礼から始まるような気がするのですが?
「クックック。それはさておきだ。せっかくこのような場所に来たのだ。我が娘に礼儀作法などを学ばせようと思うのが親心だろうと思うのだが、さてお前はどう思う?」
 言って綺礼が尋ねれば、ギルガメッシュもニヤリと嗤う。薫は素早く立ち上がる。
「先に帰ります」
 ダッシュで去ろうとした薫の足に不思議な鎖が巻き付いて、可哀想な薫は転んでしまうのです。
「ハッハッハ。この我(オレ)を置いて従者の貴様がどこへ行こうというのだ、カヲル?」
 素敵な笑顔で鎖を引く残虐非道なギルガメッシュ。
「王様! 前から思っていたんですが、この鎖は見せてはいけないあの鎖ではないのかと思ったりするのですが、その辺どうでしょうかっ!」
 半泣きになってズルズル引きずられる薫ちゃんです。
「まあ気にするな」
「気にしますっ!!!」
 しかし逃げられないし、逃がさない。それが言峰教会の掟であった。そして、

「シクシク、おかえりなさいませ。ご主人様。……シクシク」
 ぶかぶかのメイド服を着て、薫はギルガメッシュと綺礼に頭を下げる。現金をちらつかせ、店を仕切って薫にメイドをやらせる保護者達。さすがに涙が止まりません。
「ハハハハハ。よしよし、気に入った。買収を考えよう」
「ククククク。そうだな、そして薫に社会勉強として研修をさせるかな」
「おお! 綺礼、貴様もたまには良いことを言うではないか!!」
 笑顔の二人に薫は涙目で珈琲を注ぐのです。
「……くそう、役員会議で絶対に落としてやる。シクシク……次の買収はサーバー事業だもん。シクシク」
「「ハハハハハハハハハ」」


あとがき
 残念ながら管理人(私)はメイド属性を持ち合わせておりません。階級社会からの実像を知るとあれですから……。嫌いとは思いませんけどね。
2008.2/11th


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