トップ 管理人プロフィール オリジナル小説 二次創作トップ ご意見感想掲示板 ときどき日記 メール リンク

黄金のプチねた#03 宝石魔術

「凛、つまるところ「宝石魔術」とは一体どんな魔術なのですか?」
 ここは夜の遠坂邸。地下から上がってティータイムを優雅に楽しむ二人の少女、遠坂凛と言峰薫。
 弟子の薫の質問に、師匠の凛はキリリと顔を引き締め説明します。
「遠坂の家は宝石魔術を家伝の魔術としている。それは知っているわよね?」
「当然です。そうでなければこんな質問はしないです。あー、でも宝石魔術は実際の所どんな魔術なのか良く判らないのです」
 むぅ、と薫は眉を寄せて困った顔をする。それを見る凛は苦笑した。
「まぁ、その疑問も判らないではないわ。極論を言うと「宝石魔術」という魔術がある訳じゃないのよ」
「はぁぁああ?! なんですかそれぇぇええ?!」
 詐欺ですかっ!!! とでも言わんばかりの薫にハイドードー。凛は言葉を続けます。
「魔術の基盤思想は色々あるでしょう? アストロロジー(占星学)、魔術カバラ、基督教カバラ、エジプト神学、ギリシャ・ローマ神学、ルーン、ソーサリー(妖術)、ウィッチクラフト(魔女術)、神智学、インヤム(陰陽)。まだまだ他にもあるわよね?
 そして背景となる文化や宗教、歴史や伝統は異なれば、違う魔術と呼ばれるわよね?
 でもね技法には共通するものがあるの。
 降霊とか、召喚とか、結界とか、霊視とか、占いとか。象徴体系(シンボル)は違うし根本体系(スタイル)は違っても何をするかの実技では、同じものがたくさんある。これはいい?」
 ふんふんと薫は頷く。
「でね、宝石魔術っていうのは、その魔術の実技に宝石という「道具」を使う魔術技法なの。判るかしら?
 宝石魔術という魔術があるんじゃなくて、例えば降霊や召喚の魔法陣や指令杖に宝石を使って成功率を上げたりするの。戦闘魔術でも宝石を使う、結界を張る基点に宝石を使う、魔力を貯めるのにも宝石を使う。
 別に宝石じゃないとダメってことじゃないわ。だけど宝石と相性が良く、宝石を利用・応用して魔術を上手く行う魔術師、それが宝石魔術の魔術師よ」
「ははぁ。なるほど。宝石魔術という魔術があるのではなく、魔術に宝石を上手に利用するのが宝石魔術と言うわけですか」
「そうよ。宝石は自然によって着色された神秘の結晶。光を受けて様々に輝き美しさを持って人々を魅了する力ある石。太古から権力者が求めた富と力の証明書なのよ!」
 凛は知らずググッと拳を握る。ビバ、宝石魔術。
 そんな凛から薫は少し距離を取り、あははと笑って話題を逸らす。
「で、宝石利用の極限が第二魔法の使い手、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグさんなのですか」
「薫、あなたも遠坂の弟子なんだから大師父と言いなさい、大師父と。そうよ、魔法使い「宝石のゼルレッチ」の持つ「宝石剣ゼルレッチ」が宝石魔術の究極と言われてるわ。私も遠坂の魔術として宝石剣を目指しているの。え? どんなものかって? 平行世界への門を開くと言われているわ。
 ……なによその「うそくせー」って目は? むしるわよ?
 まあいいわ。とにかく私も、そして薫も遠坂の魔術師なんだから宝石に親しみ、宝石を優雅に使いこなすのよ」
 キラキラと瞳を輝かせる凛に、思わず薫はボソッと言ってしまうのです。
「お金かかりますね」

 はうっ!!! クリティカルヒット! 遠坂凛の心の贅肉に大ダメージ!!

 ああっ、大丈夫ですか凛?! すみません。つい口が滑ってしまいました。傷は浅いですよ?! 泣かないでください。凛、りーん。


 あとがき
 ウチでは宝石魔術とはこういうものだとして扱っていきます。
2008.2/4th

トップ 管理人プロフィール オリジナル小説 二次創作トップ ご意見感想掲示板 ときどき日記 メール リンク
inserted by FC2 system