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Fate/黄金の従者#17ギルガメッシュ叙事詩

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 夜空に今日は月はなく、色濃い闇が眠る街にのしかかる。しかし天に星は瞬き、煌めく点描により幾多の星座が夜空に映える。
 そんな冬木の新都郊外、丘の上。冬木教会通称「言峰教会」裏手に炎が燃える。
 囲む者達の中心で、ささやかな焚き火が黄金の炎を揺らめかせていた。そんな炎を見詰めるのは二人の男と一人の少女。
 教会の僧衣を着込んだ神父、言峰綺礼。
 エナメル塗りのファーコートを着た美丈夫、ギルガメッシュ。
 そして小枝にマシュマロを刺して火で炙っているのが言峰薫である。
「焼けました。王様、どうぞお召し上がり下さい」
 薫が差し出す枝を鷹揚に受け取り、ギルガメッシュはむしゃむしゃとマシュマロを頬張った。
 王としては豪華にして絢爛たるを好むギルガメッシュだが、彼は王であると同時に一人の戦士。かつてはたった一人朋友(とも)と呼んだ男と共に、旅をしたこともある。
 背負い袋に干し肉を、革袋にはビールを詰めて。砂漠を越え山を越え、深き森へと分け入った。夜にはこうして火を起こし、酒を飲み肉を喰らい、語り明かしていたという。
「王様、王様のお話を聞かせて下さい」
 ギルガメッシュが生きていたのは紀元前2600年の昔である。しかし4600年の時が流れた世界の果てで、せがむ従者に語って聞かせることもある。

 ──── そうそれは、人類最古の英雄王ギルガメッシュの冒険譚 ────


カヲル:はい。というわけで、薫ちゃんのミニミニ王様講座・特別編「ギルガメッシュ叙事詩」です! 進行は色々と諦めました言峰薫と。
ギル:ハハハハハ。ついにこの我(オレ)の物語が語られるときが来たか! 遅い!! 遅いぞ!!!
カヲル:慢心せずしてうっかり屋さんのサーヴァント・アーチャー、ギルガメッシュでお送りいたします。
ギル:ところでだ。我が言うのも何だがこの形式でよいのか?「おまけ」ではないようだが。
カヲル:王様のバカッ!!!
ギル:うおっ?! 短剣で刺そうとするとは何ごとだ?! カヲル貴様血迷ったか?!
カヲル:血迷っているのは王様です! 仮にも最古の英雄にしてキーキャラたるギルガメッシュの物語を「おまけ」で紹介するのはダメだろう、と管理人が本編扱いしたというのに!
ギル:何?! そうであったか。おお、我の活躍をおまけ扱いするなどありえぬことであった。特別に許す。しかしそれでもこの形式は良いのか?
カヲル:一度やってみたかったようです。あと、ギルガメッシュ叙事詩のギルガメッシュ、区分のため「ギルガメシュ」としますが、Fateのギルガメッシュとはあまりに個性が違うため、小説化すると大笑いになるからやめておくそうです。
ギル:そんなに違うのか?
カヲル:その判断は各々皆々様に任せることにいたします。
ギル:まあ良かろう。ではまずギルガメッシュ叙事詩だが、これは12章からなる。粘土板などで出土したためここでは「書板」と表記することとするぞ。
カヲル:叙事詩としてまとめられたのは古代バニロニア時代であるようです。シュメール語が最古のものですが、それらは小エピソードがバラバラにある小話です。
ギル:エルキドゥ、作中のものは「エンキドゥ」とするが、奴も本来はギルガメシュの奴隷・下男・召使いであったのだ。
カヲル:それが古代バビロニア、紀元前20世紀にアッカド語で一つにまとめられた物語を我々は「ギルガメシュ叙事詩」と呼ぶわけです。
ギル:解読にもドラマがあるがそれは置く。アッカド語のくさび形文字・古代ペルシャ語楔形文字・古代ペルシャ語・バビロニア語の新書体楔形文字・エラム語・アッシリア語・ヒッタイト語・フリ語などが関係するのだがきりがあるまい。
カヲル:基本的に粘土板です。ノアの箱船とほぼ同一のエピソードがあり注目を集めました。
「私は鳩を放った。鳩は飛んでいったが舞い戻ってきた。休み場所が見当たらず、引き返してきたのだ」
 みたいな感じです。
ギル:全訳が出来上がったのは1930年代だ。リルケという詩人はこれを読み「人に衝撃を与える最高傑作だ」と絶賛したのだぞ。
カヲル:では内容を述べていきます。

ギル:まず「第一の書板」だ。ギルガメシュの圧政が描かれエンキドゥが創造される。

カヲル:メソポタミア最古の都市の一つウルクに、ギルガメシュという王がいました。父はルガルバンダ(神格化されたウルクの王)、母はリマト・ニンスン(ルガルバンダの妻である女神)です。
ギル:ギルガメシュの三分の二は神、三分の一は人間ということになっている。女神ベーレト・イリー(アルルとも言う)太陽神シャマシュ、天候の神アダドらにより形作られた彼は非常に雄々しく、また輝かしい姿であり、その力は万人に優れ、かなう者などいなかった。
カヲル:ギルガメシュはウルクで圧政をしき、民はそれに苦しみます。民衆は天神アヌに助けを求め祈ります。
ギル:その声を聞いたアヌは創造の女神アルルに命じる。ギルガメシュに対抗する者を創り戦わせ、ウルクに平和をもたらせと。
カヲル:女神アルルは粘土をつまみ荒野へ投げ落とします。そこからエンキドゥが生まれました。
ギル:エンキドゥの体は女のような長い髪で覆われ、裸であり文明を知らなかった。奴は獣たちと一緒に草をはみ、水飲み場で水を飲んで暮らすようになった。
カヲル:狩人が水飲み場でエンキドゥと顔を合わせます。狩人は罠を見抜いて壊すエンキドゥを非常に恐れ、急いで帰り父に告げます。
ギル:狩人の父は言った。ウルクに行きギルガメシュに告げ知らせよと。そこで狩人はウルクに赴き、ギルガメシュにエンキドゥの事を告げたのだ。
カヲル:ギルガメシュは言いました。聖娼(神殿付きの娼婦)シャムハトを連れて行き、エンキドゥを誘惑させよ。そうすれば彼は彼女に近づき、獣は彼から逃げ去るだろうと。
ギル:狩人はギルガメシュの言うとおりにした。エンキドゥはシャムハトと交わった。七つの夜が過ぎると獣たちは彼の姿を見るなり逃げるようになる。
カヲル:エンキドゥは自分の体が以前とは変わったことに気が付きます。彼は人間となったのです。
ギル:つまり「子供は女(異性)を知って大人になる」というわけだ。
カヲル:エンキドゥは以前より力が弱くなってしまいましたが、代わりに知恵を得、人の言葉を理解するようになりました。聖娼シャムハト語ります。
ギル:あなたは賢く、神のようになった。獣と荒野を彷徨うのはやめ、共にウルクへ行こう。そこには野牛のように権力を振るうギルガメシュがいると。
カヲル:エンキドゥは彼女の言葉に興味を持ちます。友が欲しいと思うのです。そしてウルクへと向かいます。ギルガメシュと力比べをするためです。
ギル:ギルガメシュは二つの不思議な夢を見た。
カヲル:一つは、天から星のようなものが落ち、ギルガメシュはそれを持ち上げることができません。ウルクの民はそれに接吻し、彼もそれを抱いた夢。
ギル:二つは、ウルクの通りに一本の斧が投げ出されており、ウルクの人々が集まります。ギルガメシュはその斧を取って母の足元に置いたという夢。
カヲル:ギルガメシュの母、女神リマト・ニンスンは夢を解き、彼に告げます。
ギル:山から最強の力を持つ勇敢な男がやってくる。彼はおまえの対抗者であり友である、と。
カヲル:ギルガメシュは力強い友を心待ちにします。

ギル:次に「第二の書板」だ。両雄の激突が描かれる。

カヲル:神殿娼婦シャムハトは、ウルクへの道中エンキドゥに服を着せます。
ギル:羊飼いの家に宿をとると、彼らはエンキドゥの勇姿を誉める。エンキドゥはパンやビールでもてなされるが、エンキドゥは初めて目にする食事に面食らう。奴はそれまで獣の乳しか飲んだことはなかったのだ。
カヲル:シャムハトの勧めによりパンを食べ、ビールを飲みます。彼は大いに満足し、ビールを七壷も飲み干します。一応いっておきますが「7」はシュメール文明の古来から「いっぱい・たくさん」を意味する慣用句みたいなものでした。つまり本当に七つの壺だけ飲んだのではなく「いっぱい飲んだ」のです。
ギル:エンキドゥは滞在中、羊を狙う狼や獅子を撃退したぞ。
カヲル:家畜を狙う狼やライオンをねじ伏せる戦士の像は多くあります。ギルガメシュも獅子を抱き言うことをきかせているような像があります。
ギル:ウルクへの途中、彼らは一人の男に会う。話を聞くと、ウルクで花嫁選びが行われるので手伝いに行くとのことだ。
カヲル:で、花嫁になる前に「初夜権」を行使するためギルガメシュがやってくると聞いてエンキドゥは怒ります。
ギル:エンキドゥは男と共にウルクへと到着する。大勢の者が集まり、口々にエンキドゥの雄々しい姿を誉めた。ギルガメシュと競う者がやってきたと喜んだのだ。
カヲル:エンキドゥは家に通じる道に立ちはだかり、ギルガメシュを待ち構えます。
ギル:夜となってギルガメシュがやって来る。二人はついに「広場」で出会うのだ。
カヲル:エンキドゥはギルガメシュが進めないよう門を足でふさぎます。
ギル:ギルガメシュは夢により対抗者が来ることは知っていたが、お楽しみの夜に来るとは思っていなかった。邪魔されたギルガメシュは大いに怒り、エンキドゥにつかみかかる。
カヲル:エンキドゥは反撃します。二人の激しい闘いにより建物の敷居は震え、壁は揺れて裂け、戸は壊れて落ちます。
ギル:二人は長い間戦うが、ついに決着はつかなかった。ギルガメシュは怒りをおさめ、引き返すことにした。
カヲル:そこにエンキドゥは彼をたたえる言葉を贈ります。二人は抱き合い、接吻し、友情を結びます。念のため言っておきますが、愛が芽生えたりはしません(笑)
ギル:二人は互いに語り合い、大いに飲食し、共に行動するようになる。
カヲル:二人は神殿娼婦シャムハトを訪れ、感謝を捧げます。
ギル:こうして闘いを通し、二人は無二の朋友となった。ギルガメシュはそれからは行いを改め、名君となったようだ。
カヲル:つまり「友と交わり子供は大人になる」という訳です。
ギル:そんなある日、ギルガメシュはエンキドゥに、柏(かしわ:ブナ科の落葉樹)の森の怪物フンババを殺し、香柏を切り倒して運び帰ろうと持ち掛ける。
カヲル:それを聞いたエンキドゥは恐れます。彼は獣たちと暮らしている時、フンババの森に行ったことがあったのです。彼はギルガメシュに言います。
「香柏の森の広さは1万ベール(10万キロメートル)フンババは森を守るためエンリル神により遣わされた神獣だ。その叫び声は洪水のようで、その口からは火を吹き、その息は死である。その耳は60ベール(600Km)先のざわめきも聞きつける。誰が森に入って行けるだろうか」
ギル:しかしギルガメシュはエンキドゥを説得する。
「永遠の命を持つのは神のみだ。人の日々には限りがあり、成し遂げることは風にすぎない。だのに死を恐れるのか。お前は私に付き従い、後ろで応援するだけで良い。もし私が倒れても『ギルガメシュは恐ろしいフンババと戦ったのだ』と後世まで伝えられるだろう」
カヲル:エンキドゥはギルガメシュの意志が堅いことを知って説得を諦めます。
ギル:二人は鍛冶屋へ行き大斧と太刀を鋳造させ身につける。
カヲル:どちらがどっちの武器かはっきりしないのですが、前述の夢からイメージしてギルガメシュが太刀(鉈みたいなものでしょう)でエンキドゥが斧かと思われます。
ギル:民はこれを知り歓声を上げるぞ。
カヲル:ウルクの長老がいさめますが耳をかしません。まさに王様です。
ギル:ギルガメシュは太陽神シャマシュの加護を祈り、神託を乞うのだが、内容はかんばしいものではなかったようだ。

カヲル:「第三の書板」に続きます。


ギル:ギルガメシュは涙を流しながら太陽神シャマシュに旅の無事を祈った。
カヲル:古代に「男が泣くのは恥」という考え方はありません。むしろ必死に事に当たっていると評されました。
ギル:エンキドゥと共に武器を取り、長老らの祝福を受ける。長老たちは、香柏の森を知るエンキドゥを信頼して事に当たるよう忠告する。
カヲル:ギルガメシュは神殿に赴き、母たる女神リマト・ニンスンに道中の加護を願います。
ギル:女神は太陽神シャマシュにギルガメシュの加護を嘆願する。シャマシュはそれを聞き入れた。
カヲル:女神はエンキドゥを祝福し、女祭司たちが彼に護符を授けます。ギルガメシュとエンキドゥは女神に供物を捧げ、もう一度長老の祝福を受けて二人は出発します。

ギル:ここからが「第四の書板」になるぞ。

カヲル:ギルガメシュとエンキドゥは20ベール(200Km)進んで食事を摂ります。
ギル:さらに30ベール進み夕べの休息を取った。一日に50ベール(500Km)進んだことになるな。ちなみに馬に乗ったとの記述はない(笑)
カヲル:一ヶ月と十五日の道のりを三日で踏破。目指すレバノンの森に近づいていきます。
ギル:二人は太陽、すなわちシャマシュ神に向かい井戸を掘り、水で体を清めて山に登る。
カヲル:シャマシュ神に捧げものをし、エンキドゥが夢見の床をしつらえて、ギルガメシュが横たわります。彼らは神から夢を授かるための用意をしたのです。
「山よ、私に夢を。よき言葉をもたらせ」
 ギルガメシュはそう唱えて眠りにつきます。
ギル:目覚めたギルガメシュは、エンキドゥに語るのだ。
カヲル:奥深い山中で、野牛が自分の上に落ちてくる夢を見た。
ギル:エンキドゥは吉兆と判断する。その野牛はフンババであり、我らはきっとフンババを打ち倒すだろうと。
カヲル:二人はまた50ベール進み、同じように夢見の床をしつらえます。
ギル:前日の夢の続きを見る。
カヲル:彼は夢の中で野牛を捕まえたが、叫び声は地を割き、巻き起こす砂塵で空は暗くなった。ギルガメシュがその前にひざまずくと、野牛は彼の手をとり彼の傍らに座ります。そこに男が現れ、ギルガメシュに皮袋の水を飲ませて立ち上がらせた、という夢でした。
ギル:エンキドゥは言う。その野牛はフンババではなく守護者である太陽神シャマシュ、男はギルガメシュの父ルガルバンダで、フンババとの戦いにおいてきっと彼らの加護があるだろう、と。
カヲル:また50ベール進み、同じように夢を見ます。
ギル:天が叫び、地が猛り、昼は闇となる夢だった。稲妻が走り炎が燃え上がる。炎は天を満たし死が雨となってと降り注いだが、やがて火は消えた。そういう夢だった。
カヲル:エンキドゥは語ります。それはフンババとの戦いでの、神の加護の様子であると。
ギル:二人はまた50ベール進み、夢を見る。
カヲル:ギルガメシュは夢の中で獅子の頭を持つ鷲アンズーを見ます。そして恐ろしい顔の怪物を見ます。その口は火。その息は死。しかし若者が現れてその怪物を捕らえ地に投げ落とします。
ギル:エンキドゥは喜ぶ。その怪物はフンババ、若者はシャマシュ神だと。
カヲル:二人はついに香柏の森に到着します。
ギル:ギルガメシュは重ねてシャマシュ神に加護を呼びかけるぞ。
カヲル:すると天から声がします。「急ぎ彼に立ち向かえ。森に入れてはならない。彼はまだ七枚の皮鎧を着けていない。一枚しか身につけていないのだ」
ギル:ギルガメシュとエンキドゥは森へと急ぐぞ。
カヲル:しかしその時、洪水のごとき恐ろしい咆哮が聞こえます。森の守護者フンババの叫びです。
ギル:二人は恐怖し、足は止まってしまうのだ。
カヲル:エンキドゥがギルガメシュを励まします。
ギル:こうして二人はついに、香柏の森の入り口に到着する。その美しく広大な森に、二人はしばらく見入るのだ。

カヲル:フンババとの戦いが「第五の書板」に描かれます。

ギル:ギルガメシュとエンキドゥの二人は森に入る。さっそく香柏の伐採を始めたのだ。
カヲル:するとその音を聞きつけたフンババが駆け付け、二人を一喝します。
ギル:「小童どもめ、なぜやってきた? エンキドゥよ、なぜギルガメシュを連れてきたのだ?! よそ者と共に我が前に立つのか? ギルガメシュよ、お前の喉笛と項(うなじ)を噛み砕き、猛々しい鳥たちに食わせてやるぞ」といったところか。
カヲル:フンババの顔が恐ろしく変化します。ギルガメシュは再び恐怖しますが、エンキドゥは再び彼を鼓舞するのです。ちなみにフンババは一つ目で熊に似た知恵ある怪物、あるいは大男といったところでしょうか。
ギル:二人は武器に薬草を塗る。エンキドゥはギルガメシュに呼びかける。
「一人では滑る場所を歩けないが、二人なら倒れた友を助け起こせる。三枚重ねの布は誰もこれを断ち切れない。三つ縒りの綱は切れることがない。獅子も二頭の仔獅子には勝てないだろう」
カヲル:エンキドゥの言葉にギルガメシュは力を取り戻します。
ギル:二人は巨大なフンババに立ち向かうぞ。
カヲル:二人は素早く飛び回り、フンババの頭に打撃を与えます。二人の地を蹴る衝撃で、レバノンの地は裂け、死は霧のように彼らに降り注ぎ、空は黒くなります。
ギル:戦いの中、ギルガメシュは太陽神シャマシュに加護を願う。
カヲル:その祈りに応じ、シャマシュは十三の激しい嵐でフンババの顔面を襲います。
ギル:フンババの視界は遮られ、進むことも退くことも出来なくなった。そこへギルガメシュの一撃が決まり、フンババは崩れ落ちる。
カヲル:フンババは、自分は彼らの下僕になり、望む全ての木を与えるから助けて欲しいと嘆願します。
ギル:だがエンキドゥはギルガメシュに、フンババを殺すように助言する。
カヲル:フンババは更に嘆願しますが、エンキドゥは聞き入れません。フンババはエンキドゥを呪います。
「エンリル神よ、二人を老齢まで生かし給うな。エンキドゥがギルガメシュより長生きすることがないように」
ギル:ギルガメシュはエンキドゥの言葉を聞きいれ、フンババの首を打つ。続きエンキドゥが心臓を打った。ギルガメシュの二回目の打撃でフンババの息は絶える。
カヲル:エンキドゥはその首を金桶に押し込めます。
ギル:二人は森の奥で香柏を伐採した。そしてそれらをユーフラテス川に流して運び、エンリル神を崇拝するニップールの町へと運び込む。
カヲル:二人は香柏で作った巨大な扉を奉納します。
ギル:これは森の番人フンババを殺したことによるエンリル神の怒りを鎮めるためだ。エンリルがフンババをその任につかせたのだからな。
カヲル:その後、二人はウルクへ帰還します。ギルガメシュはフンババの頭を持って華々しく凱旋します。

ギル:そしてイシュタルの登場だ「第六の書板」になるぞ。

カヲル:ウルクに帰還したギルガメシュは髪と身を水で清め、王の衣装を纏い冠を戴きます。
ギル:それはまことに堂々たる美丈夫で、これを見た女神イシュタルが姿を現す。
カヲル:女神は言います。
「さあいらっしゃいギルガメシュ。御身は夫になるべきお方」
 みたいな。
ギル:イシュタルは、ギルガメシュに富と権力を与えると約束し、熱烈にプロポーズするのだ。
カヲル:しかしギルガメシュは全く心を動かしません。
「貴様は解けた氷。埃や風を遮れない壊れた扉。英雄をつぶす宮殿だ。貴様の連れ合いとなった誰が長く続いた? 貴様の勇者の誰が天に上ったのだ?」
ギル:そしてイシュタルの愛した者達が、その後どのような末路をたどったかを暴いてゆくのだ。

・恋人を冥府に渡した。
・お気に入りの鳥を撃ち、その翼を引き裂いた。
・ライオンは落とし穴に落とした。
・軍馬は鞭で打ち、尖り棒で突き、革紐で縛ることを定めた。
・若い牧人を呪い、狼に変えてしまった。
・父神アヌの召使いをヒキガエルに変えてしまった。

カヲル:女神イシュタル、なにげに酷くないですか?!
ギル:よって言う。
「貴様は我(オレ)愛し、そして彼らと同じように扱うのであろう? 女神とはいえ下衆と交わる売女だな。目障りだ。消えろ雑種」
カヲル:えーと。ギルガメシュはきっぱりと拒絶したということで。
ギル:イシュタルは怒り狂うぞ。
カヲル:アヌ神に泣き付きます。
ギル:ギルガメシュが自分をなじったと訴えるのだ。しかしアヌ神は言った。
「お前が王ギルガメシュを挑発したのではなかったか。だから彼は、お前に嘲りを与えたのだ」
カヲル:しかし女神は父神の言葉を聞きいれません。
「天の牛を造り、ギルガメシュを倒してください。さもないと冥界の死者をよみがえらせ、彼らに生者を食わせましょうぞ。死者が生者より多くなるようにしましょうぞ」
ギル:これを聞いてアヌ神は困る。
カヲル:アヌは言います。
「もし天の雄牛を造れば、ウルクに七年間の飢饉が起こるだろう」
ギル:これに対しイシュタルは、七年間の豊作を用意すると答えたという。
カヲル:アヌ神はイシュタルの怒りの大きさに、やむなく天牛の手綱を渡します。
ギル:地上に恐怖が舞い降りる。
カヲル:ユーフラテス川は深くえぐられ、天牛の鼻息によって掘られた穴に、人が落ちていきます。
ギル:ギルガメシュとエンキドゥは駆け付けるぞ。
カヲル:天牛は二人に対すると、凄まじい鼻息を吹き出します。地はえぐられ、エンキドゥがその中に転落します。しかし彼はそこからすぐに跳びあがり、天牛の角をつかみます。
ギル:エルキドゥと天の雄牛の力比べだ。
カヲル:エンキドゥはギルガメシュに言います。
「ボクの力はこいつと互角。ボクがこいつの動きを止める。君は剣で止めを刺してくれ」
ギル:エンキドゥは天牛を追い回し、その尾を掴む。ギルガメシュは剣を振りかざし、首筋、角、眉間を深々と刺し貫いたのだ。
カヲル:天牛は絶命します。二人は心臓を引き出し、太陽神シャマシュに捧げます。
ギル:これを見たイシュタルはウルクの城壁の上から二人を呪う。気が付いたエンキドゥは天牛の腿を引き裂き、女神の顔に投げつけます。
「お前も征伐してやろう。これと同じようにお前もしてやろう。その臓物をお前の脇にぶら下げてやろう」
カヲル:面目丸つぶれの女神イシュタルは、神殿娼婦たちを呼び集めて嘆きます。
ギル:天牛を征伐したギルガメシュは、ラピスラズリで出来ていた天牛の角を職人たちに加工させる。
カヲル:そしてそれを寝室の飾りとします。ユーフラテス川で手を洗い、二人並んでウルクへと帰還します。
ギル:民は彼らを一目見ようと集まり賞賛するのだ。
「ギルガメシュこそ最も素晴らしい。男達の中でギルガメシュこそ最も立派だ」
カヲル:ギルガメシュは祝宴を催し、やがて横になって休みます。
ギル:次の朝、目覚めたギルガメシュに向かってエンキドゥが声をかけるぞ。奴は不思議な夢を見たのだ。

カヲル:エンキドゥの死が描かれます「第七の書板」です。

ギル:エンキドゥはギルガメシュに夢の話をする。それは神々の会議であった。
カヲル:アヌ、エンリル、エア、そして太陽神シャマシュが座っていました。まずアヌが口を開きます。
「天牛を殺したあの者たちは、山に香柏を茂らせていたフンババも殺している。この者たちのうち、一人は死なねばならぬ」
ギル:エンリルは言う。
「エンキドゥが死なねばならぬ。ギルガメシュは死んではならぬ」
カヲル:シャマシュがエンリルに言いました。
「罪のないエンキドゥが死なねばならないのか」
ギル:これにエンリルは腹を立てた。
「おまえは奴らの仲間のように、毎日奴らと共に行動しろ」
カヲル:エンキドゥは涙を流します。
「兄弟よ、神々は私を再び起き上がらせないだろう。私は死霊の元に座り、死への敷居を越えてしまう。そして、我がかけがえのないキミをこの目でもう見ることはないだろう」
ギル:エンキドゥはニップールの神殿へと向かった。そこにはフンババの香柏の森から伐り出した木で造った門があったからだ。
カヲル:エンキドゥは門に向かって言います。
「私が、あの森の中で最も高かったお前を見つけ、森から伐り出し、かくまで美しくしつらえ、この神殿に据えたのだ。しかし、私の後に来る王は、我が名に替えて自分の名を扉に刻むかも知れぬ」
ギル:そして衣服を引き裂き、投げ棄てた。
カヲル:ギルガメシュはエンキドゥの言葉を聞いて驚きます。
「貴様には広い心と確かな口があるはずだ、どうしてそんなことを口走るのだ。我(オレ)が神々に祈ってみよう、エンリル神に嘆願してみようぞ」
ギル:しかし、エンリル神が聞き入れることはなかった。
カヲル:朝が来ます。
ギル:エンキドゥは太陽、シャマシュ神に向かい涙を流した。
「わが運命は、ならず者の狩人によって変えられてしまった」
カヲル:そして自分をギルガメシュの元に連れて行った聖娼シャムハトを呪います。
ギル:彼らのせいで、自分はこのような運命に導かれてしまったのだと嘆くのだ。
カヲル:しかし太陽神はそれをたしなめます。
「エンキドゥよ、なぜシャムハトを呪うのか。彼女はパンをお前に食べさせ、ビールを飲ませ、立派な衣服を身に着けさせ、立派な男ギルガメシュをお前の友としたではないか。いまや、ギルガメシュはおまえの最愛の兄弟なる友。彼は立派な寝台にお前を横たえ、ウルクの人々にお前のため涙を流させ、また彼はお前の死後にはその身に汚れた髪を掲げ、獅子の毛皮をまとって荒野をさまようだろう」
ギル:シャマシュ神の言葉を聞いたエンキドゥは、その心を鎮めるのだ。
カヲル:そして、シャムハトへの呪いを取り消し、祝福の言葉を送ります。
ギル:エンキドゥは再び夢を見る。それをギルガメシュに語った。

 天が叫び、地はそれに呼応する。エンキドゥはその中に立っていた。
 男がいて顔を暗くする。その顔はアンズー鳥(獅子頭の鷲)に瓜二つだった。
 その手は獅子の手であり、その爪は鷲の爪。男はエンキドゥの束ねた髪をつかみ取る。
 驚いたエンキドゥがそれを撃つと、男は飛びのきエンキドゥを撃った。
 エンキドゥは押し倒され、男に踏みつけられて締め付けられた。エンキドゥはギルガメシュに助けを求めたが、彼はやってこなかった。
 男はエンキドゥを鳩に変え、冥界へと引いて行く。
 そこは入ったものが出ることのない家、踏み込んだら戻れない道、住むものが光を奪われる家があった。そこに住む者達の糧食は塵であり粘土であった。エンキドゥは数々の王侯・祭司たちが座っているのを見た。
 冥界の女王エレシュキガル、その書記ベーレト・ツェーリの姿が見えた。ベーレト・ツェーリは女王の前にひざまづき、書板を読み上げていた。
 エレシュキガルは頭をもたげ、エンキドゥを見て言った。
「誰がこの者を捕らえたのか」
 エルキドゥは目が覚めた。

カヲル:アンズーの顔をもつ男は、冥界の舟師フムト・タバルです。ついに死が目前に迫ったのです。
ギル:エンキドゥは、ギルガメシュに言うぞ。
「ボクはあらゆる困難の道を歩んだ。ボクが死んだ後もボクを忘れないでくれ、キミと共に歩み続けたことを」
カヲル:ギルガメシュは答えます。
「我(オレ)を助けた朋友がなぜ死なねばならぬのだ!!! この日、彼の力は終わりを告げたのか」
ギル:エンキドゥは病の床に着く。
カヲル:一日、二日、三日がすぎ、十二日が経つと彼の病は重くなり、体は衰弱します。
ギル:エンキドゥは病床からギルガメシュを呼び、かつての思い出を語り合った。
カヲル:部屋から出たギルガメシュは言います。
「彼が死に捕らえられてはならない。彼こそ勇士の中の一番であったではないか。この友のために力を尽くしたではないか。我(オレ)は、彼のためにウルクの人々、力ある人々を泣かせよう。我は彼のために、荒野で嘆こう」
ギル:そしてエンキドゥは死んだ。

カヲル:「第八の書板」です。

ギル:朝となり、ギルガメシュは冷たくなった友に向かって語りかける。

「わが友エンキドゥよ、あなたはカモシカと野生の馬によって養われた。
 獣たちはその乳もてあなたを育てた。
 獣たちはあなたを草地に導いた。
 エンキドゥの道は香柏の森に通じていた。
 彼らが日夜、あなたのために泣き、黙すように。
 囲いのある広大な町ウルクの長老たちがあなたのため泣くように。
 山の人々があなたのために泣くように。
 草原があなたの母のように嘆くように。
 糸杉、香柏があなたのために泣くように。
 われらはその中に怒りもて入っていったのだ。
 熊が、ハイエナが、豹が、虎が、角鹿が、チーターが、ライオンが、野牛が、大鹿が、山羊が、荒野の獣たちがあなたのために泣くように。
 聖なるウラヤ河があなたのために泣くように。われらはその岸辺を堂々と行き来したのだ。
 清きユーフラテス河があなたのために泣くように。われらは皮袋に入れた水を捧げたのだ。
 囲いのある広大な町ウルクの男たちがあなたのため泣くように。
 われらが天牛を打ち倒した時、彼らはわれらの戦いぶりを見たのだ。
 農夫があなたのために泣くように。彼は歌声もてあなたの名を高めたのだ。
 牧人があなたのために泣くように。彼はバターと混合ビールをあなたの口に供えたのだ。
 神殿娼婦があなたのために泣くように。彼女はあなたに良質の油を塗ったのだ。
 義理の家族があなたのために泣くように。彼らは指輪をあなたに贈ったのだ。
 男たちがあなたのために泣くように。姉妹のように、あなたのために髪をかきむしるように。
 エンキドゥのため、彼の母、彼の父のように、私も彼の荒野で泣こう」

カヲル:ギルガメシュはさらに嘆きの言葉を連ねると、衣服を引き裂いて投げ棄てます。
ギル:そして国中に呼びかけ、友の像を作らせた。
カヲル:それはラピスラズリ・黄金などで造られた素晴らしいものでした。
ギル:ギルガメシュはさらに嘆くぞ。
カヲル:やがてエンキドゥの埋葬に取り掛かります。
ギル:葬式が行われ、副葬品が用意され、太陽神シャマシュに示された。
カヲル:ギルガメシュは副葬品の各々についてシャマシュに示し祈ります。
ギル:葬送儀礼が終わるとギルガメシュは荒野へと出て行った。エンキドゥのために泣くためにだ。

カヲル:「第九の書板」です。

ギル:ギルガメシュは友エンキドゥのため激しく泣きながら荒野をさまよった。
カヲル:そして彼の心に恐怖が襲い掛かります。
ギル:つまり自分も死ぬのかと恐怖したわけだ。
カヲル:死の恐怖に捕らわれたギルガメシュはウバラ・トゥトゥの子ウトナピシュティムのもとに行こうと決心します。彼は永遠の生命を持っていました。
ギル:ギルガメシュは月神シンに旅の無事を祈り出立した。
カヲル:ギルガメシュはマーシュと呼ばれる山に着きます。マーシュとは「双子」と言う意味で、同じ高さの二つの峰をもっており、毎朝この間から太陽が上ることになっていたのです。
ギル:太陽神シャマシュは毎朝ノコギリを持って山を切り開き、光輝を身にまとって天へ上るのだ。
カヲル:頂は天の底に触れており、下では冥府(アラル)に達していました。
ギル:山には蠍人間がいて、麓の門を守っていた。
カヲル:その姿は上半身が人間で、下半身は蠍。鷲の足を持っていました。
ギル:その形相は「死」と形容されるほど恐ろしいのだ。
カヲル:その体からはメランム(畏怖の輝き)が発せられ、それが山を隠していました。
ギル:奴らの仕事は、日の出と日の入りの太陽を見張ることだったのだ。
カヲル:ギルガメシュは彼らの姿を知ってはいたが、実際に目の前にして非常に怖れます。
ギル:しかし意を決して近づくと、彼らに向かって会釈したぞ。
カヲル:一人の蠍人間が妻に向かって叫びます。
「こちらにやってくる者、その身体は神々の肉体だ」
ギル:彼の妻は応える。
「その三分の二は神、三分の一は人間です」
カヲル:蠍人間はギルガメシュに向かって叫びます。
「神の肉体を持つものよ、遠い道をなぜやってきたのか。この山は通り抜けることが困難だ。どうしてここまでやってきたのか、その理由を知りたい」
ギル:ギルガメシュはここまでの経緯を話して聞かせる。
「ウトナピシュティムのもとに行きたい。彼は神々の集会に立ち、不死の生命を見出した。死と生の秘密を彼から聞きたいのだ」
カヲル:蠍人間はギルガメシュに言います。
「ギルガメシュよ、彼のもとに行く道はない。この山を行こうとしても誰も通り抜けることはできない。この中は十二ベール(120km)も闇が続き、暗黒が立ちこめ光はない。お前は道に迷い、右往左往し永遠に出られないだろう」
ギル:蠍人間の妻もギルガメシュを引きとめた。しかしギルガメシュの決意は固かった。ついには蠍人間も折れ、山の門を開いたのだ。
カヲル:ギルガメシュは一ベール進むごとに声を上げ、位置を確認しながら進んでいきます。
ギル:暗黒は深く、前も後ろも見えなかった。そして九ベールに達した時、激しい北風が起った。
カヲル:そして十二ベールを過ぎると、彼はシャマシュの前に出ます。つまり陽光のもとに出てきたわけです。
ギル:目が慣れてくると、素晴らしい光景が広がっているのに気が付く。
カヲル:イラクサや茨は紅玉の実をつけ、葡萄の房をたわわにし、見るも美しかった。それらはラピス・ラズリの葉をつけ、実をつけ、見るも楽しかったとあります。
ギル:太陽神シャマシュはギルガメシュに訊ねた。
「ギルガメシュ、お前はどこにさまよい行くのか。お前が求める生命を、お前は見出せないだろう」
カヲル:ギルガメシュは答えます。
「荒野を歩き回ってからというもの、大地の中にこそ安らぎが多い。わが命の残りすべてを、私はそこで眠って過ごすのでしょうか。わが目が太陽を見るように。私が光に満たされますように。暗黒、冥府がはるか遠いとすれば、光はいかばかりでしょう。死者は太陽の輝きを見るでしょうか」
ギル:ギルガメシュは先へ進むぞ。
カヲル:この地には、他にも様々な宝石が当たりに満ちていました。
ギル:ギルガメシュがそれを見ながら歩いていると、やがて海辺に達した。
カヲル:海辺には女神シドゥリが住んでいた。彼女が浜辺に座っているのを、海岸を歩くギルガメシュが見つけます。

ギル:「第十書板」だ。死の海を渡るぞ。

カヲル:美しい女神シドゥリは海辺に座っていた。ギルガメシュは彼女を見つけ、そちらへと向かいます。
ギル:シドゥリはギルガメシュを見る。獅子の毛皮をまとい、神の肉体を持った英雄だ。だがその心には悲嘆があり、表情には疲労があった。
カヲル:シドゥリは思います。これは殺人鬼かもしれない。そして館に入ると門を閉ざしてしまいます。
ギル:ギルガメシュは門の前で声を上げ、身分を明かした。しかしシドゥリは信用しなかった。
「お前がギルガメシュであるなら、フンババを殺し、ライオンどもを殺し、天牛を打ち倒した者であるなら、なぜそのように憔悴し、消沈し、悲嘆に暮れているのか」
カヲル:ギルガメシュは応えます。
「どうして私が憔悴せずにいられよう、どうして私が消沈せずにいられよう、どうして私が悲嘆に暮れずにいられよう!わが友エンキドゥ、ともにフンババを殺し、ともにライオンどもを殺し、ともに天牛を捕らえ殺した、私と労苦をともにしたわが愛するエンキドゥ、彼を人間の運命が襲ったのだ。昼夜、私は彼のために泣いた。私は彼を葬ることを許さなかった、私の叫びを聞いて、もしやわが友が起き上がりはしないか、と。七日七晩、彼の顔から蛆がこぼれ落ちるまでだ。彼が冥界に下ってしまってからは、私は生命を見出せない。私は盗賊のように荒野をさまよった。酌婦よ、いまこうしてあなたにまみえたからには、私が恐れる死を見ずともよいようにしてほしい」
ギル:シドゥリはギルガメシュに言った。
「ギルガメシュ、おまえはどこにさまよい行くのですか。おまえが求める生命を、おまえは見つけることはできないでしょう。神々が人間を造ったとき、彼らは人間に死をあてがい、生命は彼らの手中に収めてしまったのだから。ギルガメシュよ、自分の腹を満たしなさい。昼夜、自身を喜ばせなさい。日夜、喜びの宴を開きなさい。踊って楽しみなさい。衣を清く保ちなさい。頭を洗い、水を浴びなさい。
おまえの手にすがる子供に目をかけなさい。おまえの膝で妻が歓ぶようにしなさい。これが人間のなすべきことなのです」
カヲル:しかしギルガメシュは言います。
「私はエンキドゥゆえに苦しんでいるのだ。酌婦よ、あなたは海辺に住んでいる。私に道を示してくれ。そのしるべを私に与えてくれ。そのほうがよければ、私は大洋をも渡ろう。よくないならば、私は荒野をさまようだろう」
ギル:シドゥリは言った。
「ギルガメシュよ、この大洋を渡った者はいません。そこを行く者は誰も戻ってこれません。シャマシュ神のほか、誰も渡れません。渡航は困難を極め、そこに至る道はさらに困難。その間には死の水があり、行く手を遮っています。あなたに何ができるというのです?
 ……ただ、ウトナピシュティムの舟師ウルシャナビがいます。彼は石物(?)を持ち、森からひこばえを切り出しています。さあ、行きなさい。彼のもとへ。もしその方がよいと思うならば、彼とともに海を渡りなさい。よくなければ、引き返しなさい」
カヲル:この石物というのがよく判りませんでした。申し訳ありません。
ギル:ギルガメシュはウルシャナビのいる森に着くと、斧を振り上げて木を伐り始めた。ウルシャナビはその音を聞きつけ、ギルガメシュに気付くのだ。
カヲル:ギルガメシュは彼を見つけると有無を言わせず捕らえ、縛り上げて樹に釘で固定すると「石物」を奪い、これを船に積んで舟を漕ぎ出します。
カヲル:。しかしウルシャナビなしでは舟はまともに進みません。「石物」の重みで舟がなかなか進まないのに業を煮やしたギルガメシュは、それを打ち砕いてしまいます。
ギル:大洋に漕ぎ出したギルガメシュは「死の水」に出遭うぞ。目の前に横たわる広大な「死の水」の恐ろしさに、ギルガメシュは舟を止める。
カヲル:そして引き返し、ウルシャナビの縛めを解き彼に助けを乞います。
ギル:ウルシャナビは言った。
「あなたは死の海を渡る護符であった「石物」を壊してしまいました。ですから、5ニンダ(30m)の櫂材を120本、伐り出してください。皮をはぎ、水掻きをつけ、舟へ運び込んでください」
カヲル:ギルガメシュはただちに用意します。
ギル:ギルガメシュとウルシャナビは舟に乗り込み出航した。やがて二人は死の水にたどりついた。
カヲル:ウルシャナビは言います。
「水から離れてください。水に触れてはいけません。櫂を取ってください。ひと漕ぎしたらその櫂を捨て、次の櫂を取ってください。それを続けるのです。さもなくば、濡れた櫂から死があなたを捕らえます」
ギル:どんな水だと思わなくもないが、ギルガメシュはそれに従い、死の海を渡っていった。
カヲル:120の櫂をすべて使い尽くしてしいますが、ギルガメシュは衣を脱いで舟柱にかけ、高く掲げて帆の代わりとし、航海を続けます。
ギル:遥かなる地の河口に立っていたウトナピシュティムはこれを訝しがった。
「なぜ舟の石物は壊されている? なぜ舟主でもないものが舟を操っているのか?」
カヲル:ギルガメシュは河口に辿り着きます。
ギル:ギルガメシュはウトナピシュティムを見つけ、自分の旅の目標を告げる。
カヲル:ウトナピシュティムは言います。
「あなたはなぜ、悲嘆を引き伸ばそうとするのか。あなたは神々と人間の肉をもって造られた。あなたの父と母のように神々はあなたを造ったのだ。神々に仕え、捧げ物をしなさい。そうすれば、あなたを脅かす悪者、敵、邪術を、神々は遠ざけてくれる。
 エンキドゥは神々によってその運命に連れ去られたのだ。あなたはなぜ眠らないのか。自分を疲れさせ、身体を悲嘆で満たし、あなたの遠い日を近づけている(死期を早めている)ではないか。人間の名前は葦原の葦のようにへし折られるのだ。誰もそれから逃れることはできない。
 原初の人間(つまりウトナピシュティム)は若者だった。私に対する祝福が告げられた時、偉大なる神々は集い、創造女神マミートゥムが彼らとともに天命を定めたのだ。彼らが死と生との定めを決定したのだ。
 しかし人間にはそのしるしを見ることはできないようにした」
ギル:古バビロニア語版では、舟師の名はスルスナブ、ウトナピシュティムはウタナピシュティム。
櫂の数は300となっているようだな。

カヲル:次の「第十一の書板」がノアの洪水のモチーフと考えられています。

ギル:ギルガメシュはウトナピシュティムに嘆願する。
「不死の生命をもつあなたの肢体は私と同様です。私の目はあなたに向かって注がれています。私の腕はあなたに向かって差し伸べられています。どうか話してください。あなたがいかにして神々の集いに立ち、不死の生命を探し当てたのかを」
カヲル:懇願に負けたウトナピシュティムは、口を開きます。

「秘密をお前に明かそう、神々の秘密をお前に語ろう。
 ユーフラテスの河辺にある町シュルッパク。歴史は古く、そこには神々が住んでいた。
 だが偉大な神々のある者達は洪水を起こそうと考えた。そこにいたのは神々の父アヌ、顧問官・英雄エンリル、神々の運河監督官エンヌギ。他にも多くの神々がそこにいた。
 神々は彼らの言葉を葦屋に向かって繰り返した。

 葦屋よ。壁よ。聞くがいい。悟るのがいい。
 シュルッパクの人、ウバラ・トゥトゥの子よ、家を壊し舟を造れ。
 持ち物を棄て、生命を乗せよ。
 生命あるもののあらゆる種を舟に導き入れるのだ。

 私は、エア神の仰せのとおりに長老や職人を丸め込み、方舟を造らせた。
 そしてすべての銀と黄金を、すべての生き物の種を方舟に積み込んだ。
 最後に家族、親族、すべての技術者を乗せてやったのだ。
 シャマシュ神は言った。
「朝にはクック(パンの一種)を、夕には小麦を雨と降らせよう。さあ、舟に入り戸を閉じよ」
 シャマシュ神はそのとおりにした。私はそれから方舟の戸を閉じた。

 その時がやってきた。
 暁が輝き始めたとき、天の麓から黒い雲が立ち上った。
 アダド神は雲の中から吼え、シャラト神とハニシュ神がその先駆けとなった。
 エルラガル神が舟の留め柱を引き抜き、ニヌルタ神が堰を切った。アヌンナキは松明を掲げ大地を燃やそうとした。
 アダドの沈黙により全地が暗くなると、続く雄叫びで全地は壺のように破壊された。終日暴風が吹き荒れ、大洪水が大地を覆った。
 戦争のように人々の上に破滅が走った。彼らは互いに見分けもつかなくかった。
 神々も大洪水を恐れ、アヌ神の天に昇ってしまった。神々はうずくまった。イシュタルは絶叫し嘆いた。
「古からの日々が泥と化してしまったとは! 私が神々の集いで禍事を口にしたからか! どうして禍事を口にしてしまったのか!
 人間を滅ぼすために戦争を命じてしまったのか! 私が生んだ人間たちが、稚魚のように海面を満たすとは」
 アヌンナキも彼女とともに泣いた。神々は嘆き、食物さえとらなかった。

 六日七夜、大洪水と暴風が大地を拭った。
 七日目、暴風と大洪水は戦いを終わらせた。大洋は静まり風は止み、洪水は退いた。
 光が地上に射し、沈黙があたりを支配していた。
 全人類は粘土に戻ってしまっていた。
 私はそれを見て、泣いた。
 あたりを見回すと、12ベールのところに土地が見えた。
 舟はニムシュの山に漂着した。
 七日目になって、私は鳩を放した。鳩は飛んでいったが、戻ってきた。休み場所が見当たらなかったのだ。
 私は燕を放した。燕は飛んでいったが、戻ってきた。休み場所が見当たらなかったのだ。
 私は烏を放した。烏は飛んでゆき、水が退いたのを見てついばみ、身繕いし、引き返してこなかった。
 そこですべての鳥を四方に放ち、山の頂を前にして供儀をささげた。
 その芳香を嗅ぎ、神々が集まった。
 マハ神が首飾りを掲げて言った。
「神々よ、私はこの項のラピスラズリを決して忘れない。これらの日々を心に留め、決して忘れない。
神々よ供物に集え。だがエンリルは来てはならない。彼は熟慮なく大洪水を起こし、わが人間たちを破局に引き渡したからだ」
 エンリル神は遅れて来たが、舟を見ると怒って言った。
「何らかの生命が破局を逃れたのか。人間は生き延びてはならなかったのに」
 ニヌルタ神が言った。
「エア以外に誰がこのようなことをするだろうか。エアはすべての業をわきまえている」
 エア神がエンリルに言った。
「あなたは英雄、神々の賢者。どうして熟慮なく洪水をもたらしたのか。罪人にはその罪を負わせよ、咎人にはその咎を負わせよ。それで赦せ、それで我慢せよ。彼とて抹消されてはならない。
 洪水をもたらす代わりに、ライオンを放ち、狼を起こし、飢饉を起こし、疫病を起こして人間の数を減らせばよかったのだ。
 私は偉大なる神々の秘密を明かしてはいない。
 最高の賢者の意(ウトナピシュティムのこと)に夢を見させたら、彼が神々の秘密を聞いたのだ」
 エンリル神はエア神の言葉を聞くと、私とわが妻を引き上げ、祝福して言った。
「これまでウトナピシュティムは人間であったが、いまや彼とその妻はわれら神々のようになる。ウトナピシュティムははるか遠くの河口に住め」
 神々は私を連れて行き、はるか遠くの河口に住まわせたのだ。

 だが、今、誰がお前のために神々を集わせうるだろうか、お前が求める生命を見出しうるために。
さあ、六日七夜眠らずにいてみるがいい」

ギル:ギルガメシュはウトナピシュティムの足元に座り眠気に耐えるが、眠りは霧のように彼を飲み込んだ。
カヲル:ウトナピシュティムは妻に語ります。
「生命を求めるこの若者を見よ。眠りが霧のようにかかっている」
ギル:妻は言った。
「彼に触れて起こしてあげなさい。目を覚ますように。自分の道を帰り、自分の国に帰れるように」
カヲル:ウトナピシュティムは答えます。。
「彼のためパンを焼き、彼の頭のそばに置きなさい。彼の眠った日数を壁に印しておきなさい」
ギル:ギルガメシュはウトナピシュティムに触れられて目を覚ます。
「私がまどろむとすぐに私に触れて起こしてくださったのはあなたですね」
カヲル:ウトナピシュティムは答えます。
「さあ、ギルガメシュ、あなたのパンを数えてみよ。眠っていた日数がわかるだろう」
ギル:乾いたパン、傷んだパン、べたつくパン、黴が生えたパン、灰色になったパン、冷めたパンと、焼きたてのパンがあった。
カヲル:ギルガメシュは六日七夜眠ってしまったのです。
ギル:ギルガメシュは嘆いた。
「私はどうしたらいいのでしょう。死が私を捕らえました。私が行くところにはどこにも死があるのです」
カヲル:ウトナピシュティムはウルシャナビに命じてギルガメシュの体を洗わせてきれいにし、舟で元のところに返すよう命じます。
ギル:ギルガメシュが船出しようとすると、ウトナピシュティムの妻が言った。
「あなた、ギルガメシュはここまでやってきて疲れきっています。あなたが何か与えたので、彼は帰ろうとしているのですか? 何かを与えて返してあげたほうがいいのでは?」
カヲル:ウトナピシュティムはギルガメシュを呼び止めます。
「ギルガメシュよ、秘密を一つ教えよう。生命の秘密をお前に語ろう。根が棘のような草がある。その刺は野薔薇のようにお前の手を刺す。もしこの草を手に入れられれば、お前は不死の生命を見出すだろう」
ギル:そこでギルガメシュは深淵(アプスー:海のことのようです)への入り口を開け、石を足にくくりつけると深淵へと飛び込むのだ。
カヲル:そして、その草を見つけます。海藻を食えということでしょうか? びば日本食。
ギル:その草を取ると、彼の手を刺が刺した。
カヲル:ギルガメシュは石をはずし、岸辺に浮き上がってウルシャナビに言った。
「これによって人は生命を得る。私はこれをウルクに持ち帰り、老人に食べさせ試してみよう。
草の名は「シーブ・イッサヒル・アメール(老いたる人が若返る)」私もそれを食べ、若き日に戻ろう」
ギル:二人は元の岸辺に戻ると、旅をして休息を取った。
カヲル:ギルガメシュは泉を見つけ身を清めます。
ギル:その時だ。一匹の蛇がその草の匂いを嗅ぎ、音もなく忍び寄ると草を喰ってしまった。
カヲル:蛇が戻っていくとき、脱皮して皮を脱ぎ捨てます。
ギル:草がなくなったことを知ったギルガメシュは再び悲嘆に暮れるのだ。
カヲル:二人は旅を続け、ウルクに到着します。
ギル:ギルガメシュはウルシャナビに言う。
「ウルシャナビよ。ウルクの城壁に上り往来してみよ。
 礎石を調べ、煉瓦を吟味してみよ。その煉瓦が焼き煉瓦でないかどうか、その基礎は七賢者が据えたのではなかったかどうか。
 ウルクの町は1シャル、果樹園は1シャル、粘土を取る低地が1シャル、それにイシュタル神殿の未耕作地、すなわち、ウルクは3シャルとさらに未耕作地からなっている」
カヲル:シャルとは3600、あるいは「全域」をあらわす言葉だそうです。前者の意味として、単位が広さをあらわす「イクー」だとすると、1シャルは約1300ヘクタール。
 何が言いたいかというと「ウルクよ! 私は帰ってきたぞ!!」みたいな感じのようです。
ギル:こうしてギルガメシュの旅は終わったのだ。

カヲル:でも続く「第十二の書板」

ギル:さて、しかし存在するのが十二番目の書板だ。
カヲル:アッカド語版「ギルガメシュ叙事詩」の物語は第十一の書板で完結しているのです。
ギル:しかしだ、第十二の書板には、これに全く連続していないエピソードが記されているぞ。
カヲル:話は「プック」「メック」というよく判らない木工品を冥界に落としたギルガメシュが嘆いているところから始まります。
ギル:そこへエンキドゥがやってきて、それらを取り返してこようと提案する。
カヲル:ギルガメシュ忠告をして彼を送り出しますが、彼はそれを聞かず冥界に捕らえられてしまうのです。
ギル:つまり死んでしまうわけだ。
カヲル:ギルガメシュはエンリルとシンに願うが神は祈りに応えません。
ギル:エア神に祈ると冥界に穴を開けよと教えられる。
カヲル:ギルガメシュがそうすると、穴からエンキドゥの死霊が現れます。
ギル:ギルガメシュとエンキドゥの霊が冥界に関する問答を行うのだが、途中で唐突に終わってしまうのだ。

カヲル:何ですかね。二次創作というか、後日談というか、書こうとして失敗して放棄したというか。
ギル:似たようなことは人類最古の文明で既にやっていたということだな。
カヲル:人って、実は進歩していないんじゃ……。
ギル:文明は進歩しているだろうがな。しかし文化はどうか判らんな。
カヲル:あっはっは。耳が痛いですね。音楽はヴェートーベン一人によって大道芸・BGMから宇宙の全てにあきたらず、哲学をも表現可能な至高の芸術にまで劇的に進化したと言われるのですが。まさに楽聖。
ギル:カヲルよ、それはこの場に関係ないぞ?
カヲル:失礼いたしました。では特別企画「ギルガメッシュ叙事詩」を終了いたします。
ギル:うむ。これが人類最古の英雄王の物語。内容の素晴らしさから神話ではなく叙事詩という文学作品として扱われる我が冒険譚である!
カヲル:実は「ギルガメッシュ叙事詩」以外にも、王様の物語は存在します。
ギル:そうなのか?!
カヲル:あー、でもレベル低いし短いし、エルキドゥ様も「ギルガメシュ」の奴隷・下男・召使いで毛ほども活躍しないのです。
ギル:うーむ。最強キャラが一人いてもつまらんと思うのだが。
カヲル:四千年以上前にもそう考えた詩人がいたと言うことなのでしょう。では今回はこの辺で。
ギル:カヲル、大儀であった。しばし休むがよい。
カヲル:ありがとうございます王様。ではスタジオに戻ります。メインスタジオの綺礼さーん。


 ──── フェードアウト ────


「おじさま、どうかしましたか?」
 薫の声に、言峰綺礼は我に返った。焚き火の温もりを体に受けて、少々うとうとしていたようだ。
「どうした綺礼。まさか貴様、この我(オレ)の語りを聞いていなかったとは言わせぬぞ」
 燃える炎の向こう側では、ギルガメッシュが丸太に腰掛け足を組んでふんぞり返る。白皙の顔に愉悦に歪む笑みを貼り付け、射抜く眼が紅玉の光輝を放つ。
 綺礼は両手を顔にやり、下から上につるりとなでた。
「少しばかり夢でも見ていたようだ。ギルガメッシュ、お前の夢だ」
 綺礼の言葉にギルガメッシュは大きく目を見開いた。
「我の夢だと? 綺礼、貴様よくもほざいたものだ。片腹痛いとはこのことだ」
 そう言いギルガメッシュはハハハと笑った。
「まあまあ王様。相性が良い場合、マスターはサーヴァントの過去を夢に見ると言いますし。ハッ?! ということは! 実は王様とおじさまは相性が良いということでしょうか?!」
 二人を見やる言峰薫に、言峰綺礼とギルガメッシュは呆れるように呟いた。

「「それはないな」」

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あとがき
 あれー? 天の鎖(エルキドゥ)が出て来ませんでした。管理人(私)が調べた版にはないだけかと思ったのですが、どうもあれは型月世界の創作物であるようです(知らなかった)
 それとも出てくる版があるのかな???
2010.2/28th

次回予告
 凛と薫は、生徒会の用事で桜の通う中等部を訪れる。
 夕焼けの赤に染まる校庭の片隅で、飛べない高飛びに挑み続ける男子生徒に気が付いた。
 遠坂凛、間桐桜、沙条綾香、言峰薫。少女達は何を想うのか?
 そして後日、柳洞寺の衛宮切嗣の墓前で衛宮士郎と言峰薫が対峙する。
幕間最終話「正義の価値は」
 この次もサービスさーび、あ、痛い、石を投げないで(いや本当に)


おまけのおまけ
 全然関係ありませんが、Fate/strange fakeにサーヴァント・ランサー、エルキドゥが登場するのですが、こんなスキルはどうでしょう?

スキル:精力絶倫(六日七晩)
 獣の如きであったエルキドゥが聖娼と交わり人となった逸話の具現。
 彼は非常に女好きであり、ニッコリ笑って肩を抱き、腰に手をやり抱き上げる。逃げてー、ティーネ逃げてー。
 奴は絶対にケダモノだと信じています(うそ)そしてツッコミを入れるギルとか読みたいです。

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