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黄金のプチねた#77β 雪ダルマと筋肉

 切嗣に呼び止められた。
 なんだろうと薫が振り向くと、彼はアインツベルンの城壁沿いに顔を向けている。
 その先にあったのは、見上げるような大きさの灰色の塊だった。塊、すなわち巨人が巨大なスコップで雪を掘り、道を作っているようだ。
 そしてその傍らで、防寒服に身を固めた少女が雪だるまを作っている。いくつもの雪だるまが、地蔵の様に立ち並ぶ。そんな光景が生まれていた。

 接近して 少女の前に切嗣が そこから少し離れて 巨人と薫が対峙する
「イリヤ?イリヤなのか」彼女がそうなら 隣りは…まっちょ。
「指示があるまで 動かないで」巨人に告げて「お爺様から、来ることを 聞いています」

 薫の耳が、ピクピク動く
 今、動くなって指示を出しましたよね?言いましたよね?これは 伝説級のにくにくに触れる 世紀の大チャンス…

 てくてくと近付き、灰色の塊を見上げる…そして、その筋肉を確かめる。ぺたぺたと、湯気の上がる巨人の体に触れてみる。熱を持ち、膨れあがった腕の筋肉。
 ……なんというアニキ(はぁと)…さようなら、クー・フーリン…昨日までの アニキ。

「そうか」切嗣は、それだけ答えた。その傍ら…
 ああ、温かい…薫の瞳は 潤み、漫画風に言うなら ハートを浮かべていた。ウが?只成らぬ気配を感じた巨人は、マスターのほうを向いて
 …気付いてくれません。

 イリヤスフィールは 言葉を続ける。
「お爺様から、来たら巨人と戦わせ、倒せたら連れて来いとの指示を受けています」
「ずいぶんと他人行儀なんだな」
 切嗣は悲しげに呟いた。

 その傍らで…ぺたくた…うっとり…まったり…巨人君への指示は、動くなです。

「仕方ないでしょ、迎えに来ないんだから」
 殺意を浮かべながらも、ぷいとむくれるイリヤ。悲しくはあるが切嗣は同時に嬉しく思う。
 待っていてくれたのだ。しかし帰ってこれはしなかった。そんな自分がふがいない。

 イリヤは一応気づいていた。しかし…うちのトロルには、何をやってもマトモな攻撃では 通用しない。

 大事な話が終るまで、好きにさせなさい。と、放って置く事にした。…それが間違いである事も知らずに。

 …さておき

 その後ろで、薫は巨人の体をペたぺたと触りまくり・なでまくりです。そして巨人は動けません「動くな」命令、実行中。
「凄い、この筋肉…如何なる攻撃も弾き返す強靭さと 叩き潰す強さ。更に、コンパクトで繊細な動作も行えそう…」薫は驚嘆し 感嘆している。

 触られながら、巨人は思う。こんなんなっちゃったけど 女の子に好意を持って ぺたくた触られるのって…案外幸せなのかもしんね。
 しかし、彼の 索敵用に強化された霊視眼と戦力識別に優れる脳に 少女の紡ぐ単語と行為から…最悪の結論が弾き出された。

 …コイツ男だ…
 昨夜の事を、思い出した。

 もったりとした黒髪と、眼鏡が特徴的な美少女の外見を持つ リカという名前
 それ以外 知ろうとしてはいけない。と厳命される女性から

「明日やって来る 少女と裏切り者。倒した後、男はイリヤの玩具に女は、ズタズタに犯せ」その為の知識を与える。と、禁書庫に連れられ、色んな本を読まされた。

 ある程度の学習能力を持たされた彼にして 一通りの事は出来るようになった。しかし、機能は有っても 他者との触れ合いが限られた マトモな女の子の手を握った事すら無い 性根の優しい彼には…一寸処か吐き気を催すモノだった。

 その為…と言うか、口直しと言うか…偶然スイッチ押して見つけた
「セラの!他人は読むな」って隠し棚の中から…がっちりした男と なよってした感じのが抱き合う 日本製の漫画雑誌を取り出し

「…セラのよく読む本って男の友情がテーマって話だって言ってたな~始めては、リズがよかったな~」と、ぼやきつつ、読んでしまった。
 現代文学上、最悪の禁忌。日本で進化 発展し、…洋の東西を問わず 広まってしまった 腐女子の美学。

 …それもハードでコアなものを 学習能力と探究心で 読んでしまった事から アニキと言う単語とハッテン場、それらオゾマシイ行為を理解してしまい、生理的嫌悪とトテツモナイ恐怖から、眠れない夜を迎えたのである。

 …そんな訳で、雪かきしながら待ってた。しかし…訪れる筈の無い、最悪ガ訪レタ。

 ヤバい、こいつ、ヤル気だ。
 撫で回す指先 微笑む笑顔、命令後に撃破して レイプしなければならない
 可愛いけど可哀そうな少女は オゾマシイ存在に変わって行った。

 いや、しかし、少女の体だ。ついてないだろう?再度、索敵と識別を行う。
 すると、更に恐ろしい事を 知ってしまった。

「こいつ、魔術師だ。更に、最大の武器は…ドリル ランス?」

 …変身するかもしれねえ、魔術で動けなくした後、「あはー」と笑うステッキを取り出して…

 股間に金属音をタテテ伸縮 振動 更に 頭部がドリルのように回転する。
 おぞましい ハイパー兵器を生やした鬼畜王に変身し…きっと、何人もの屈強な漢が、奴に倒されて来たのだろう。

 そして、おれも奴に 凌辱されて…運命を変えられてしまう…

 意識が、指示を破る事への禁忌と、生理的恐怖で 埋め尽くされた。
 彼は…逃げ出した。

 切嗣は尋ねる「その雪ダルマは?」…後ろで何か言ってるが、聞こえない。聞こえないんだ。イリヤ、いい子だから見ないようにね。切嗣は、懸命に 話題を探した。

 …なんか聞こえる。兄貴って呼ばせてくださ~い♡。「ガ~」どたどた…兄貴~

「切嗣を連れて来てって お願いしながら作ってるの、連れて来てくれないって壊したり、練習で 壊させたり、ぶつけ合せたりしてるの」

 ね、見て、これなんか、切嗣の顔そっくりでしょ?…そう言えば 雪ダルマの顔は、誰かしらの 特徴がある。

「ママと来てくれる筈の日から、ね」彼女は、くるくる回る表情と 笑顔で指し示した後、ぐすりと啜ると 泣き始めた。

 でだでだ…ずだ~ん。物凄い音がした。そういえば、連れの事 忘れてた気がする。

 逢うことに焦がれていた 娘が泣いている…愛おしさが込み上げて来た。
 切嗣は、イリヤを抱き締めた「…これから殺しあうのよ」弱弱しく言うものの、…イリヤは、全てを持って 切嗣の温もりを求めた。

 あなたの連れて来た
 雑種と 我がアインツベルンの ロイヤルガードが遊んでる。
 戦えと指示は出してないけど、うちの仔は強い。
 あと少しだけ、温もりを感じたい。
 そんな訳で、それ以外の感覚を遮断し、必死な救助要請を 聞かなかった。

 その一方
「わーい、かおる、いっきまーす」滑って転んだ巨人に、筋肉に対する愛と肉欲を込め、フライングボディプレス。

 …オレ、犯サレル…倒れた巨人の心は、恐怖と絶望で 埋め尽くされた。

「#$%&$$%#‘&%“!”」

 そして、一層大きな声なき声が放たれ、哀れな巨人は…気を失った。

 勘弁してくれ。薫のものではない悲鳴を聞いて、いやいやながら後ろを向いた。
 そしてあんぐり口を開けることとなる。

 俯せとなった巨人の背に薫がまたがり、撫でていた。
「この広背筋、この広背筋がっ!!」彼女の瞳が輝いているかのようだった。
 うつぶせで倒れた巨人の上に、連れてきた 黒髪も麗しい少女が寝転んで、うう~ん、きんにく~。とか、まっちょ~とか、蕩けた表情で 頬擦りしたりキスしている。そんな、有り得ない光景が 展開されていたのだ。

「……キリツグ、あの子、なに?」有り得ないモノを見た、そんな面持ちで 聞いてくる。

「……魂は男、とか言ってたなあ。巨人君はその辺、耐性ないのかな」
 耐性? 首を傾げるイリヤスフィール。イリヤ、判らなくてもいいんだよ。ああなっちゃいけないよ。
 
 イリヤは 意識を巨人に向け、破損状態等を 確認する
 …次第にその顔が強張って行った。
「普通の戦闘や雑用はともかく…ああ言う手合いは…」

 切嗣は薫るに近づき、ハリセンを取り出した。

 ———— すぱーん ————

「痛いじゃないですか?! 切嗣さん」

「薫ちゃん、黙ってて」
 すぱーん。
「切嗣さん、私の扱い。ちょっと酷くないですか?!」
 やかましい。娘の前で変なことをしないで欲しい。

 ええとイリヤ、倒せればいいんだよね、倒れてるけど。
「ええ(げんなり)凄く 納得行かないけど、…今は戦えそうにない」
「ああん、ヘラクレス~」首根っこ掴まれた薫は、更に筋肉を堪能しようと接近を試み、切嗣をくっつけたまま 巨人に向かって行く。

「違います、制御訓練用の トロル君。普通だと結構強いんだけど…つんつん」
「おーい…これって…返事がない、只の屍のようだ…なのかな?」
「すみませんね。イリヤスフィール」
「薫ちゃん、黙ってて」

 ———— すぱーん ————

「切嗣さん、私の扱い。ちょっと酷くないですか?!」

 やかましい。娘の前で変なことをしないで欲しい。
「いやですね切嗣さん、男受けなんて腐女子の間では常識ですよ」
 ごすっ。
「ねえキリツグ、あの子、めり込んでるけどいいの?」

 いいからいいから、イリヤ、いい子だからあの子の言うことは覚えてなくていいからね。
「ちょっとそこの従業員!!! 日本人勤労の美徳を教えてあげます。そこになおれ」
 上等だ。僕も君に女の子の正道を教えてあげよう。
「…親の顔が見てみたいわ」
 会おうと思うな、わが娘よ…心が犯される。薫ちゃん、キミも 言峰なんだね…

 同時刻、冬木市 薫の居ない某教会は、あくまの巣と 化していた。

「…くっくっくっくっく」綺礼は、ワイングラスを置いて、笑いだした。
「どうした綺礼」ギルは、ぶつ切りのリンゴやチーズを頬張りつつ、尋ねる。
「いや、なんでもない」遠くで噂されている、そんな気配を感じ、楽しくなったようだ。

「どうでもいいけど、何でメイド服なの?」凛は、不満そうだ。
「良いではないか、時臣の娘? 一人前のレディになる修行と宝石が目当てで申し入れたのではなかったのか?」
 ギルは、口の中のものを ワインで流し込んだ。

「ううー」住み込み女中になってしまっている凛は、只唸るばかりだ。
「いい?薫に言ってはダメ、外国に行ってる間 貴方達不良中年の世話をしてるなんて 言ったらダメだからね」
 破ったら、今日のごはん…全部甘いものにするわよ…それはさておき

 〜〜 小一時間ほど経過しました 〜〜

 もったりとした黒髪に、度の強い眼鏡を付けた。何処と無く 世界が違うメイド服の女性が現れ
「アハト翁との謁見を許す」と伝えてきた。取り敢えず、切嗣と薫は議論を中止する。
 
 そんな二人に雪の少女は改まって一礼した。
「ようこそアインツベルンへ」
 そしてイリヤは切嗣に抱きついて「抱っこして連れて行きなさい」
と 万年雪が溶けるような笑顔を振りまいた。


あとがきby七音(ななおと)
 活字スキーさんより「黄金のプチねた#77妖精と雪だるま」の再度改稿版をいただきました。このレベルでもR18的にダークゾーンかもですが、それが主題でもないので問題ではないだろうと判断。あとは個人の好き嫌いなのでしょう。
 凛を綺礼やギルともっと絡めたいとは思っていたりです。カレンやイリヤもやり方によっては聖杯戦争前に遊びに来ても、……考えてみるか(無謀)
 管理人(私)としては明確なエロねたはオリキャラがもう少し成長してから、あるいは2号館(R18作品用別サイト)を立ち上げてしようと考えています。えっちなネタは好きですか?
2009.6/30th

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